私の愛読する漫画のひとつに、「黄昏流星群」がある。弘兼憲史氏の名著で、人生の黄昏時を迎えた人々の恋愛物語だ。漫画とはいえ変に華美にせず、老体のしわやたるみがリアルに描写されている。ビジュアル的には美しいといえない身体と、身体のからみを、弘兼憲史氏は大胆に描いているのだ。
まだ枯れてはいない欲を、これでもかと言わんばかりに読者に見せつける。むきだしの身体よりも、むきだしの欲が美しいのだと私は感じ入り落涙し、流石だ、と唸ったり、恍惚のため息をついたりする。私も年をとったものよのう。
年を重ねるごとにセックスの回数は減ってくる
巣鴨のラブホテルで流れているのは老人同士のAVらしいのだが(それ以外もあるだろうけれど)、一般的に、年を重ねるごとにセックスの回数は減ってくる。老人と言わずとも、「もうさ、手をつなぐくらいでお腹いっぱい」という30代や40代だっている。その背景には「仕事や子育てで疲れて、セックスするのが面倒」という疲労系と、「わざわざ結合しなくても、添い寝とか、くっついているだけで和む」という悟り系がいる。
昨今は、決してセックス嫌いではないのだが、別に性器をこすり合わせなくても手と手だけで愛情確認はできるじゃん、という悟り系というか近未来系、テレパシーで感じるよね、みたいな「セックスだってスピリチュアルがオシャレ」な人々が増えているように思う。
以前も書かせていただいたが、やはりふれあいや肌と肌の相性というのは大切だ。それがセックスに結びつかなくても、例えば美容院などで、異性の美容師の指が首筋に軽くふれただけでキュンとしたり、あるいはゾッとしたりする経験は誰しもがあるだろう。なので、とりわけ女性は、好みの男性によりそい、いつでもふれたりふれられたりの距離を保つのが最高のアンチエイジングなのではないか。まあ、犬とか猫とかペットでもいいけれど、性的高揚とは別物なので今回は却下する。
整体院で裸になる人
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