“大酒が産んだ商店街”の伝説残るバラック群【亀甲マーケット】

数々の街歩き取材を重ねてきた、文筆家・路地徘徊家のフリート横田氏。2020年の大イベントを前に、東京の街が大きな変貌を遂げつつあることを肌で感じているといいます。その危機感から始まった本連載。
第十七回は、東京近郊の川崎市にある、八角形のトタン屋根が印象的な建物。完全閉鎖を目前にした今、その歴史と記憶を求めて取材へ繰り出しました。

また川崎に来てしまった。本連載名は、「“東京”ノスタルジック百景」。なのにまたも東京を離れ、ここ川崎市幸区にあるJR鹿島田駅に降り立ってしまった。それは、古びた、小さな商店街を訪れるため。

今年9月、商店街の人々は立ち退き、建物は全て取り壊され、そこにマンションが建つ予定だ。その最後の姿を見せてもらい、そこで暮らした人々にお話を聞きたくなったのだ。


Y字路の狭間に静かに佇む、一風変わった形状のマーケット。

鹿島田駅から徒歩10分ほど歩いた府中街道沿いに、目的の建物がある。

一見してサーカス小屋のような八角形の屋根に目を奪われる。いやいやサーカス小屋じゃない。昔の人はもっとめでたい名前をちゃんと付けていた。

ここを「亀甲マーケット」という。

昔は商店街として多くの個人商店が並んだが、今ではシャッター街となり果てている。ツギハギで錆の浮いたトタン屋根の色彩、ひと気のないわびしさも相まって、お住まいの方には申し訳ないことながら、かえって私などは一種の美しさを感じてしまう……。


長年の補修が自然と作り出した、この“亀甲屋根”のパッチワークよ!(許可を得て近隣のビルより撮影)

さて、亀の甲羅のような不思議な建物の形。どうしてこんな姿なのか?

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この連載について

初回を読む
東京ノスタルジック百景 シーズン2 ~今見ておきたい昭和の風景

フリート横田

ライター兼編集者として、数々の街歩き取材を重ねてきたフリート横田氏。著書『東京ノスタルジック百景』からのcakes連載が好評を博し、満を持して書き下ろしの連載がスタート。2020年の大イベントを控え、急激に変化しつつある東京。まだわず...もっと読む

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ueno_takeshi https://t.co/s29nIiW8no 3ヶ月前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 7ヶ月前 replyretweetfavorite