やっぱりこういう人が重宝される
このところ、テレビを適当に眺めていると、とにかく頻繁に元サッカー女子日本代表の丸山桂里奈が出てくる。本人から遮二無二ぶっちゃけてくるというよりも、周囲が、どこまでぶっちゃけられるのかと興味津々に近づいていき、それならば、と踏み越えてくるやり取りを繰り返し見させられる。「あのなでしこの……」という枕詞が何度でも使い回せる制約となっており、その制約を取っ払ってしまえる私、という意外性を起点に動く。その起点を繰り返し使う。なでしこという前提から始めることによって、赤裸々の度合を強めていく。かつて交際していた男性は、性行為の時間がやたらと長く、途中で一休みをしたのだという。それを丸山は「もぐもぐタイム」と称して、笑いをとる。やっぱりこういう人が芸能界では重宝される。丸山個人がどうのこうの、というより、「やっぱりこういう人が」という状態にぐったりする。
「きっと私のことを気にして見てくれているんだな」
キャラクターを粗造して一気に消費するテレビの世界は、粗造されることへのガードの緩い人がひとまず歓迎される。「私、言うべきことを言わせてもらいます」という誠実さよりも、「あ、私、何でも言います」という勢いに対して、招待状が撒かれる。ですよね、で、その何でも言っちゃう姿勢で、時折炎上しちゃってますもんね、と投げれば、「一般の人は、10人中10人が私のことをいい人って思うわけではないし、『批判する人も、きっと私のことを気にして見てくれているんだな』と思うので、あまり気にはしていないです」(丸山桂里奈インタビュー・『大手小町』)という答えが返ってくる。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。