音楽室に現れた青い扉の先には……

【他人の夢⑤】
その夜も見たのはミキコさんの夢だった。日を追うごとに、ミキコさんの夢の中で自分の意識の存在がはっきりしていくことに気がづいた。そして、ある日、その夢の中に不思議な扉が現れた…
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>

イラスト:堀越ジェシーありさ



 朝が来て、学校に行くと、ミキコさんはいつも通りだった。いつも通り、他の女子達と笑っている。昼休みも、楽しそうに友達と弁当を食べている。だけど、ふとした時の表情に、切なさや陰が見えるのは、きっと気のせいじゃないと思った。

 どうして、あんな夢を見るのだろう。

 今は普通にクラスの女子と話しているが、そう言えば、午前の音楽の時間も、あの夢の中ほどではないにしろ、何度か伴奏を間違えて止まっていた。

 去年の合唱コンクールでは、堂々と上手にピアノを弾いていたはずだった。だからもともと、人前で何かをするのが苦手なタイプというわけではないはずだ。
 もし人前で何かをするのが苦手なら、そもそも立候補なんてしなかったと思う。だからやっぱり全ての原因は、ここしばらくの間彼女が見ている、あの夢にあるのだろう。心の中を逃げ出したい気持ちが支配する、あの夢に。

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夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

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