最近、彼女の様子が少しおかしい

【他人の夢④】
最近、ミキコさんの様子がおかしい。授業中にボーッとしたり、らしからぬミスをしたり……。それと時を同じくして、自分にも変化があった。同じ夢を何度も見るようになったのだ。その夢とは、ミキコさんに関係する夢だった……
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>

イラスト:堀越ジェシーありさ



 ミキコさんは吹奏楽部で、テニス部よりもいつも終わるのが少し遅い。学校から駅側に向かわず、南側に住んでいる人はそんなに多くないので、部活が終わってからの帰り道はいつも一人のようだ。

 三人の男子はなぜか同時に息を潜めた。少し俯きながら歩くミキコさんの顔には、伸ばしたままの長い髪がかかっている。

 歩いて来るミキコさんに聞こえないくらいの声で、アキヒロが言った。

「あいつ、最近変わったよな」

 アキヒロとミキコさんは、確か家が近くて幼馴染のはずだ。

「そうかな? もともとあんな感じじゃなかったっけ」

 ヒラマツも小さな声で言った。

「なんかさ、去年もあいつと同じクラスだったんだけど、学校でもっと明るかった気がするんだよな。最近、授業中もボーッとしてるし」

「そう? 今日も女子と普通に笑ってた気がしたけど。ってかよく見てるな。お前、もしかしてミキコちゃんのこと好きなんじゃね?」

「バカっ! そんなんじゃねえって」

 アキヒロが過剰に声を荒げた。その声に反応して、ミキコさんはこちらに気づいたようだった。ちらっと目をやって、すぐそらす。それからまるで何も見なかったように、同じ歩幅で通り過ぎていった。

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夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 「夢を...もっと読む

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