みんなが知らないものを知ることができる才能とは……

【他人の夢②】
自分しか持ち得ない感覚〝既視感〟。テストの成績がいいのも、実はそれが理由なのかもしれない――。そんな疑問を持ちながらも、深くその理由を考えてこなかったが、「夢を題材にした作文」の宿題をきっかけに自分の〝人とは違った能力〟についてはっきりと意識することになった
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>


イラスト:堀越ジェシーありさ



 中学生になってからも、既視感は度々訪れたが、慣れとは怖いもので、その原因についてはあまり深く考えることはなかった。そもそも自分が他の人と違う理由なんて、誰もちゃんと考えたことがないものだと思う。アキヒロがクラスで一番足が速いのも、サクミさんが絵を描くのが上手なのも、誰も彼らに特別な理由があるとは思っていないだろう。ただただ、その才能があったのだ。

 一方で、ミキコさんがピアノを弾くのが上手なのは、それとは少し違って、きっと小さい頃からピアノ教室に通っていたからだろう。
 努力によって勝ち得た力と、才能によって最初から持っている力は違う。努力は時間をかけて、結果に結びつく。才能はそれとは違う。アキヒロやサクミさんの「足が速い」や「絵が上手」というような部類の力は、生まれつきその力があったのだと思う。
 だけど、自分が人と違う才能を持っていることを、ただ、「違う」という事実だけを受け入れて、誰もその理由を探さないのは変じゃないだろうか。一度母にそんなことを話した時、母は少し考えて「遺伝子が違うのよ」と言っていたけれど、その説明は如何にも淡白で、なんだか納得できない気持ちだった

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません