マリナー、ボイジャー、カッシーニなどの探査機が幾度も人類の宇宙観を塗り替えてきた過程を振り返るにつけ、あることを実感せざるを得ない。
人類はまだ、いかにわずかしか知らないか、である。
科学者が信じる数々の仮説も、SF小説家が想像する宇宙像も、学生が使う教科書も、これから何度も塗り替えられていくことだろう。二十一世紀の我々が金星人を描いたSFを古臭く感じるように、未来の人類は二十一世紀人類の宇宙観をナイーブだったと振り返るだろう。その未来人すらも、さらに未来の人から見れば、何も知らない赤子に思えるだろう。宇宙は果てしなく広い。それに比べて人類は限りなく小さい。たしかに人類は太陽系の八つの惑星全てに探査機を送り込んだ。しかし、銀河系にある惑星の数は約一千億と言われている。人類はまだ、その一千億分の八しか知らないのだ。
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