2008年の『アイアンマン』から始まり、数多くのヒーローを描いてきた映画シリーズ〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉(以下MCU)も、ついに10周年を迎えた。それぞれのヒーローが、作品の垣根を越えてクロスオーバーしていく大河ドラマ的な展開は「ユニバース化」などと称され、現代の映画製作におけるひとつのトレンドとなった。
この10年で発表されたMCU映画は、本作含めて19本となるが、なかでも「アベンジャーズ」と題された作品群は、シリーズを通してMCUが描いてきた多数のキャラクターが一堂に会する、ファンにとってのお祭りのような特別イベントである。よって期待度も非常に高い。『アベンジャーズ』('12)、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』('15)につづく、「アベンジャーズ」3作目となる本作において、ファンの期待は最高潮であり、興行成績はこれまでの北米映画興行収入の記録を塗り替えて過去最大、圧倒的なヒットとなった*1。
本作における最強の敵サノスは、過去MCUシリーズから登場が予告されていた悪役であり、この世界に6つあるといわれる秘宝、インフィニティ・ストーンをすべて入手しようと目論んでいる。サノスには、6つのストーンを手に入れたのち、全宇宙の半分の生命を滅ぼすという途方もない計画があった。かかる危機的状況を回避するため、アベンジャーズがサノスに立ち向かう。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、これまでシリーズを応援してきたファンのためのお祭りとして純粋に楽しめる作品だ。たくさんのキャラクターが登場して場をもりあげる景気のよさ、にぎやかさを満喫できる本作は、まるでたくさんの屋台が並ぶ縁日のような非日常感が特徴である。
私は公開初日の六本木で同作を見たのだが、会場につめかけた客はお気に入りのキャラクターが出るたびに歓声をあげ、ユーモラスな会話に笑い、この豪華な祭りにすっかり没頭していた。MCUを見つづけてよかった、と感慨もひとしお。外国人の観客が多かったせいもあるが、会場の反応は非常にビビットで、10年かけて構築してきたMCUはこれほどに人びとを楽しませるシリーズになったのかと感動してしまった。物語では、強大な敵の攻撃という危機的状況も設定されてはいるのだが、観客は「このお祭りを楽しもう」と気持ちを切り替えることができる。
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