◆#26◆
「いいかウジ虫ども!」
13階南側オフィスフロアの中央で、サカグチは天井に向かって一発発砲し、足元のヨガボールを蹴った。ヨガボールは跳ね、観葉植物を転がした。社員らはごくりと唾を飲んだ。
「四七ソの連中がこのフロアに紛れ込んだ! いいか、俺と三木さんが屋上に逃げるまでの間、お前らで時間を稼げ!」
「逃げる!? なッ、何でですか!?」
新卒らしい徹夜明けの若者が声を震わせる。サカグチは睨みつけた。
「アア? そんなモン、決まってンだろうが! ONDOのせいだよ! お前らも薄々気づいてたろ!? こんなモンがいつまでも持つわけないってな! ハハハァ!」
「アガッ!」
サカグチは若者の口に銃をねじこみ、黙らせた。これまで末端には一度も見せた事のない、悪魔のような本性であった。
「いいなウジ虫ども! ここで四七ソを消せ! 揉み消せば、また一週間くらい時間が稼げるぜ! そうでなきゃ、お前らも巻き添え食って、全員今日のうちに首切りだ! いいな! ハハハァ! 気合入れろよ! 住宅ローン、組んでんだろォ!?」