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こんにちは、きのコです。
ネット記事などで「誠実な複数恋愛」と定義されることもある、ポリアモリー。そのこころは、“不誠実”な複数恋愛である浮気とは違う、ということのようです。だけど、私はこの「誠実」という定義に、なんとなくモヤモヤを感じていました。
誠実って、とっても主観的で抽象的な概念のように思えます。
お付き合いにおいてどうふるまうことが誠実であるのかは、人によって解釈が異なるもの。そのような曖昧な言葉でポリアモリーを定義すると、いろいろな誤解を生んでしまうのではないでしょうか。
結局、「誠実」ってどういうことなのでしょう?
今回は、誠実ということについて、そしてポリアモリーを定義することの難しさについて、考えてみたいと思います。
誠実な人はもはや人間離れしている?
ネット上では、いわゆる「誠実さ」として以下のような特徴がよく挙げられているようです。
●嘘をつかない
●公平さを大切にする
●仕事に対して真面目に取り組む
余談ですが、「誠実な人の26個の特徴や行動」という記事には、タイトルの通りなんと26個もの“誠実さ”が示されていて、思わずのけぞってしまいました(「品がある」とか「1つのものを長く大事に使う」って誠実さなんでしょうか……)。ここまで来ると、誠実な人ってもう人間離れした聖人君子というか、なんか誠実な人って大変そう、などと頭を抱えてしまいます。
国語辞典「大辞林(第三版)」によると、「せいじつ【誠実】」とは、「偽りがなく、まじめなこと。真心が感じられるさま」だそうです。
噛み砕いていうならば、ポリアモリーとは「偽りがなく、まじめで、真心が感じられる複数恋愛」ということになるのでしょうか。「偽りがない」はともかく、「まじめ」や「真心が感じられる」というのも、やっぱり割と主観的な表現だなぁとは思うのですが……。
海外における「Polyamory」という単語の意味にも目を向けてみたいと思います。
オックスフォード英語辞典では、PolyamoryをThe practice of engaging in multiple sexual relationships with the consent of all the people involved.(関係する全員の合意を得て、複数の性的関係を結ぶという実践)と定義しており、「誠実」に相当する表現は見つかりません。
誠実という定義は、少なくとも英語で説明されるPolyamoryにはない、日本で語られるポリアモリーにおける独特の表現なのかもしれません。
誠実だから、という理由で選んだわけではない
私が言いたいのは、ポリアモリーが誠実か否かということではなく、そういった何か美しい概念でもってポリアモリーを“神格化”してしまうのってしんどくない?ということ。