河邉徹
まるでどこかで見たことがあるような風景
【他人の夢①】
テニスの練習中、フェンスを越えて外に出てしまったボールを探しに行く。その時にまた〝あの感覚〟に襲われた。経験したことがないのに、どこかで見たことのある感じ――
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>
イラスト:堀越ジェシーありさ
心の中へ潜っていく。どのくらいで底に着けるだろうか。
外からでは、何も見えないからわからなかった。中に入るとここは、焦りが漂い、恐怖が流れ、逃げ出したい気持ちが奔流となって世界を支配している。
誰にだって心の中には、ところどころに、光があり、道案内があり、隠し通路だってあるはずだ。
ここには、それすら見当たらない。
自分のじゃないからこそ、わかることだってあるはずだ。
僕は、底に沈んだ、輝く宝石を取り戻したい。
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この連載について
河邉徹
WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の
〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。
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著者プロフィール
1988年6月28日、兵庫県生まれ。関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修 卒。ピアノ、ドラム、エレクトリック・ベースの3ピースバンド・WEAVERのドラマーとして2009年10月メジャーデビュー。バンドでは作詞を担当。
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