悪夢もまた夢。やっと手にした理想の夢とは

【理想の夢⑬】
思わぬ結末に、また、明晰夢を見て、夢工場の扉まで行こうとしたのだが、もはやその扉は開くことはなかった。幸せな夢、変わらぬ現実。まさに悪夢だった――
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>


イラスト:堀越ジェシーありさ



 寝る前に、以前明晰夢を見る訓練をしていたことを思い出す。もう見れなくなってしまっているだろうか。緊張感を持ってベッドに入ったせいで、その日はなかなか寝つくことができなかった。それでも目を閉じていると、少しずつ意識が遠のいていった。

 加藤はまた、高層ビルのオフィスにいた。

 そう、これは夢だ。自分が見ている夢。そして、理想の夢。自分はここが好きだ。自分で手に入れた場所だ。また取り戻さなければならない。

 辺りを見渡すと、あの頃と変わらないままのロビーだった。窓に向かって大きなソファが置いてあり、パーティーの日、ここで橋本と内田と三人で夜景を眺めていたことを思い出す。

 長い時間、ここにはいられないだろう、早くあの青い扉を探さなければ。

 どんな扉か、もうその正体がわかっている今、それを見つけることは以前ほど難しくなかった。

 ロビーの入り口の横に、この前見たものと同じ、真っ青な扉があった。

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夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

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