河邉徹
どんな願いも叶えてくれる場所とは……
【理想の夢⑩】
ようやく夢工場へと辿り着いた。自分の願いを叶えるために夢工場を利用しようとしたのだが、管理人は「どんな夢も叶うとは限らない」と言う。その訳は……
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>

イラスト:堀越ジェシーありさ
今いる場所が夢だと気づいたのは、いつものようにポケットから鍵を取り出した時だった。じっとそれを見つめていると、黒い色のにゃおくんが真っ白になっていることに気がついた。最初はそれさえ不自然に思わなかったのだが、一度気がつくとその違いは明白だ。
——ここは、夢だ。
反射的に立ち上がり、辺りを見渡した。見たことのないレストランにいるようだった。この空間のどこかに、夢工場へと繋がる扉があるのだろう。
加藤はその扉が、必ず夢の中のどこかにあることを確信していた。今まで集めてきた情報と、あの冴えない弓木が自分の上を行ったという事実が大きな理由だった。起業まで長い時間をかけて、準備をしてきた自分の上をだ。
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この連載について
河邉徹
WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の
〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。
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著者プロフィール
1988年6月28日、兵庫県生まれ。関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修 卒。ピアノ、ドラム、エレクトリック・ベースの3ピースバンド・WEAVERのドラマーとして2009年10月メジャーデビュー。バンドでは作詞を担当。
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