河邉徹
明晰夢を見る方法
【理想の夢⑨】
Yume-TVの成功の鍵が「夢工場」だと知った自分は、そこへ行く方法を調べ始める。夢工場に行くためには、「明晰夢」という夢が必要らしい。その為に、明晰夢を見るための練習を続けてみた……
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>

イラスト:堀越ジェシーありさ
橋本は続けた。
「弓木が突然、周りに夢工場の話をし始めた時期があったらしい」
「じゃあ結局、全部あいつの作り話か?」
「それが、そうとも思えない節もあってな。弓木がそれを言い出した頃から、『これでもう安泰だ』とかよく言ってたらしい。周りは気が触れたと思ったそうだ。それからしばらくして、Yume-TVの立ち上げ、成功だ」
「ますます怪しいな」
疑念が確信に変わっていく。
「もう少し調べてみる価値がありそうだな」
加藤はそれから、ネットでも夢工場について調べてみることにした。夢の中に扉があり、そこから夢工場に行けるという書き込みを見つけたが、それは以前、弓木が言っていた『夢の先にある場所』という言葉に近いように思った。
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この連載について
河邉徹
WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の
〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。
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著者プロフィール
1988年6月28日、兵庫県生まれ。関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修 卒。ピアノ、ドラム、エレクトリック・ベースの3ピースバンド・WEAVERのドラマーとして2009年10月メジャーデビュー。バンドでは作詞を担当。
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