共働きフリーエージェントでニューリッチ
フリーエージェントは、「好きなこと」に人的資本のすべてを投資するクリエイティブクラスです。彼ら/彼女たちは大きな人的資本をもっているので、「ソロ充」からやがて「ソロリッチ」になっていきます。
もちろんこのままずっと「ソロ」でもいいのですが、「ソロリッチ」同士がカップルになると「ニューリッチ」になります。
ニューリッチは経済的に恵まれていますが、高級ブランドや高級車、豪邸や別荘には興味がありません。アルマーニを着て三ツ星レストランに行くよりも、ユニクロで近所のビストロに行って夫婦でおいしいワインを飲むとか、豪華クルーズよりも子どもたちと山に登って自然に触れるほうがいい、というひとたちです。
それぞれの仕事は忙しいでしょうが、会社にしばられているわけではないので時間の融通がききます。子どもが生まれても、お互いの仕事の都合に合わせて家事や育児を分担しているのです。
こうしたニューリッチのライフスタイルが、アメリカではいまいちばんカッコいいとされています。——ブルジョア(Bourgeois)とボヘミアン(Bohemian)を組み合わせて「BOBOS(ボボズ)」と呼ばれます。“リベラルでカジュアルなお金持ち”という感じの言葉です。
クリエイターやスペシャリストの仕事は定年がありませんから、ニューリッチはいつまでもはたらこうと思っています。お金が貯まったら悠々自適の生活を楽しむのではなく、好きな仕事を通じてずっと社会にかかわっているほうがカッコいいのです。こうしていまでは、「アーリー・リタイアメント(早期退職)」ではなく、「生涯現役」が理想の生き方になりました。
そしてこれは、じつは日本でも同じです。ちょっと前までは、60歳の定年までがんばってはたらいて、退職金を受け取ったら“悠々自適”で孫の世話をして過ごすというのが日本人の理想とされていましたが、いまではだれもそんな人生に憧れません。
日野原重明さんは105歳で亡くなりましたが、生涯現役の医師を貫きました。80歳でエベレストに登頂した登山家の三浦雄一郎さんや、92歳の最期まで舞台に執念を燃やしつづけた女優の故・森光子さんなどが、「こんなふうに生きたい」という理想になったのです。
老後を短くするしかない
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