第4回 「お客さんの言いなりの商品」は売れない? — 顧客絶対主義の落とし穴 — (前編) 

6月10日に『100円のコーラ』シリーズの完結編『100円のコーラを1000円で売る方法3』が刊行されます。そこで第1弾『100円のコーラを1000円で売る方法』を完全公開。

05

 井上太郎は、夢の中で猛犬に追いかけられていた—。地獄の番犬のような真っ黒い大きな犬が、逃げても逃げても吠えながら追いかけてくる。井上は子供のころから犬が大の苦手だ。必死で逃げる。なぜか遠くで学校のチャイムの音が聞こえてくる。それが少しずつ大きくなっていく。学校までたどり着けば誰かが助けてくれるかもしれない。もう少しだ、と思ったとき、目が覚めた—。

 学校のチャイムだと思った音は、自分のケータイの着信音だった。
 時間は午前2時。「まったく、こんな夜中に、誰だよお」と思いながらケータイの発信元を見ると「宮前久美」と出ている。半分寝ぼけた頭で「えーっと、みやまえ、みやまえ……」と思い出しているうちに、久美の姿が脳裏に浮かんで反射的に飛び起きた。「しまった。そのまま無視しておけばよかった」と思ったが後の祭り。すでに通話ボタンを押していた。
「あ、井上クン? 私。東京に戻ってきたの。明日の朝7時に商品企画部の会議室に来てくれる?これ、命令ね♡ じゃあね」

 電話の向こう側の久美は言いたいことだけ言うと、一方的に電話を切った。半分覚醒、半分寝ている頭でボーゼンとケータイを見つめる井上だった。(さっきの夢はもしかして正夢だったのかな?)

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100円のコーラを1000円で売る方法

永井孝尚

6月8日に40万部突破のビジネスストーリー本『100円のコーラ』シリーズの完結編『100円のコーラを1000円で売る方法3』が刊行されます。 そこで第1弾『100円のコーラを1000円で売る方法』を完全公開。勝気な主人公・宮前久美と...もっと読む

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tanayuki 井上クン登場♡ 約5年前 replyretweetfavorite