クチャラーが気になってしょうがない

食事のときにクチャクチャと音を立てて食べる人、クチャラー。実際、本人以外はその音を不快に感じることが多いでしょう。しかし、同じ食事の時の音でも、ラーメンやそばの場合の、あえてズルズルと啜る音は不快に感じる人は少ないはずです。ですが、日本で暮らす人にとっては当たり前のこの音も、やはり海外の人にとっては不快、不思議なもの……。文化の違いが生み出す、気になる音の違いに、注目します。


ある日、ラーメン屋でラーメンを食べていたら、隣の客がクチャクチャ音を食べて食べ始めました。クチャラーですね。クチャラーは、ぼくも結構苦手です。そんな時は、自分の食べているラーメンに集中し、早めに食べ終えて店を出るしかありません。

しかし考えてみると、ラーメンなり蕎麦なりうどんなり、麺を食べる場合は、非クチャラーであっても、音を立てて食べています。麺を啜る時のズルズルという音です。考えてみたら、ラーメン屋でラーメンを食べている客はみんな勢いよくズルズル麺を啜っています。それなのに、クチャラーのクチャクチャという音だけ気になってしまうのは、なぜでしょうか。

われわれは五感を通じて多くのものにさらされています。いまこの瞬間も、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を通じて多くの刺激にさらされています。しかし私たちはすべての刺激を等しく受けとっているわけではありません。

例えば、会社での会議の議事録をつくるためにICレコーダーで録音するときのことを考えてみてください。後から再生してみると、話している声だけではなく、テーブルや椅子にぶつかった音や、書類をめくる音、ペンで書き込む音、エアコンの音など、会議中は気にしていなかった音まで録音されていることに気づきます。

ぼくの授業はどうでしょうか? 学生の中には、真面目にぼくの説明を聞いている人もいますが、授業が退屈すぎてスマホに注意を向けている学生もいるはずです(会議もそうですよね)。人によって何に注意するのかは違いますが、どんな人でも、そんな時には自分の関心にはない情報には注目していないのです。このように特定の刺激に注意が向いていることを、選択的注意といいます。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

博報堂ケトル・嶋浩一郎さんとの共著もおすすめです!

この連載について

初回を読む
今さら聞けないマーケティングの基本の話

松井剛

何気なく使っているマーケティング用語。そのことばの裏には、あなたのビジネス、さらには世の中の見方を変える新たな視点が隠れています。一橋大学経営管理研究科・松井教授が、キーワードをゆったりと、しかし的確に解説するこの連載。他人の成功体験...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

marekingu #スマートニュース 2年以上前 replyretweetfavorite