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「自分の存在は周りに負担なのでは」……そう思ってこわくなったことが、あなたにはあるでしょうか。
今回は、とある事情から「申し訳なくてまともに恋愛できない」とおっしゃる方のご投稿をいただきました。対話形式で考えていきたいと思います。青い字が投稿文です。
初めまして。
牧村さんのブログはたくさんの人々を感じることができて、いつも嬉しく読ませていただいております。牧村さんの言葉の選び方や、喋り口調がとても好きで、優しい気持ちになります。ありがとうございます。
あら、こちらこそ、ありがとうございます。うふふ!
ちなみにこちらは個人ブログではなく、cakesというウェブメディアでお送りしております。読者の方はもちろん、デザイナー、エンジニア、カメラマン、編集など多くの方のおかげでやらせて頂いています。たくさんの人々を感じる〜。たくさんの人々を感じる〜
さて、そんなあなたは、どんな方でいらっしゃるの?
私は、パンセクシャルだと自覚しています(同性に好意は寄りがちです)。こちらは家族にもカミングアウト済みです。受け入れられてはいますが、後押しして貰えてる、とは思えない現状です。この件については、現在決まった相手もいないのでその時に考えればいいかな、と思っています。
パンセクシャル。日本語で汎性愛者。「超大陸パンゲア」とかと語源を同じくする、「男性も女性も男女二元論に当てはまらない人も関係なく恋愛対象になりうる。恋愛に性別は関係ない」というあり方のことですね。
でも、そうですね。おっしゃる通り、「その時に考えればいいかな」よね。人がパンセクシャルとかバイセクシャルとかの性的指向に沿って生きることは、突き詰めれば「人が誰とどう生きるかということ」だもの。誰と、って部分が具体的になってから考えた方がいいかなって思う。
それで今は、誰とどう生きたいとお考えでいらっしゃるの?
私には持病があり、とてもじゃないけど一人で自律はできない状態であるという事実が、私に恋愛において二の足を踏ませています。二年前に病気が発覚して、それ以来自分一人では仕事もままならなくなり実家でアルバイト程度でしか働けなくなりました。
あら! ご病気をなさったの。
それで……
女性を好きになりがちではありますが、私自身女性であり、同性で一緒に暮らすとなると相手に大きな負担をかけることになるでしょう。友だちなどに男性を紹介して貰っても、迷惑をかけてしまうから……と、一線を引いてる自分を感じます。交際する相手が男性でも女性でも、現状のままだときっと私は相手にも、家族にも申し訳なくてまともに恋愛ができないと思います。
そういう風にお考えになったのね。
私は元々一人でしっかり働く方で、家族にも極力負担をかけないようにしていました。その頃なら、また違った考え方もあったのだと思います。
こうして、もともと「家族に負担をかけないように一人でしっかり」という考え方をなさっていた方だったから、「申し訳ない」という思いなのでしょうね、きっと。
それでいまは、どうお考えでいらっしゃるの。
こんな言い方失礼だとは思いますが、私は、女性を好きになる自分を捨てて、色んな制度を受けられ、一般的に周囲にも受け入れられやすいように、男性を好きになるべきなのでしょうか?
ん——…………。
そうね。今なら遅くはないのかもしれません。特定の好きな女性がいるというわけではない今の段階なら、「私は、女性を好きになる自分を捨てて、色んな制度を受けられ、一般的に周囲にも受け入れられやすいように、男性を好きになるべきだ」って自分で決めて男性を愛する覚悟をすることが、できるのかもしれない。それも一つの選択であり、サバイバル術でしょう。
でも、でもね……
私、少し心配なんです。相手が男性であるにしろないにしろ、このまま「自分なんか」って思っていると、同じように「自分なんか」って思っている人を引き寄せやすいんじゃないかって。ご病気のことや、相手の性別のことより、この感情の方がおおもとなんじゃないかって気が、わたしにはするんです。
この「自分なんか」って感情、磁石みたいに、プラスとマイナスがあるみたいなのね。
「自分なんか」って自分で思う人2パターン
マイナス極の「自分なんか」
「自分なんか価値がない。いつも誰かに頼らないと生きられないんだ」プラス極の「自分なんか」
「自分なんか価値がない。だから誰かに頼られて自分の価値を確認したい」
ご投稿者の方は今、マイナス極の「自分なんか」磁力を放っている、「自分なんか(−極)」状態なのではないでしょうか。
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