3 孤独と女友達
【18歳の問い③】
女性と関係を深められないことで悩んでいます。友人としては普通に接することができるのですが、そこから先の一対一の親密な関係に進めることができません。どうすればいいのでしょうか?
●壊せない「プライドの壁」
「一人ぼっちで感じる孤独」よりも「二人でいても感じる孤独」=目の前の相手と関係を深められないことで感じる孤独の方が辛い。この事実は古今東西、様々な文学や歌詞で綴られてきました。
男子が特定の相手と関係を深められない理由の多くは、「プライドの壁」を壊せないことにあります。すなわち、「誰かに本音を見せたら負け」「弱音を吐いたら負け」というプライドで自分の心や口を閉ざしてしまい、他者に対して素直に自分の思いを語ることができなくなってしまう。
私自身、高校の頃はまさにそうした「プライドの壁」で人間関係を遮断し、傷つきやすい自分を防衛するという戦略をとっていました。特定の相手と人間関係を深めることが嫌だったため、そして集団行動に対して重度のアレルギーがあったため、クラスの活動や学校の行事には極力関わらないようにしていました。
文化祭の当日は、一日中人通りの少ない校舎管理棟のトイレにこもってウォークマンのイヤホンで耳を塞ぎ、当時流行っていたビジュアル系のハードロックやパンクを聴き続けて、祭りが終わるまで誰とも話さずにやり過ごすという荒業で乗り切りました。
しかし、修学旅行に関してはそうはいきません。私の通っていた高校は自由な校風だったので、修学旅行ではクラスの垣根を越えて、同じ学年の中から好きなメンバー同士で自由に班を作ることができました。
この班決め、当時の私のようにクラスどころか学年に一人も友だちのいない人間にとっては、まさに生き地獄としか形容しようのないイベントです。自分が孤独であること、誰からも声をかけられない存在であることをいやというほど思い知らされ、ただでさえ日々の孤独な学校生活で傷つけられているプライドが徹底的にズタズタにされます。
結局誰とも班を作ることのできなかった私は、旅行直前になっても一人の状態だったため、担任の教師に呼び出されました。「修学旅行に行きたくないのですが」と訴えたところ、「授業の一環だから出ろ」と一喝され、強制的に参加させられることに。
そして、全ての生徒は必ずいずれかの班に所属しなければならない、ということで、学年の中で私と同じように誰とも班を作らなかった(作れなかった)友人のいない男子たち6人が強制的に集められ、一つの班を結成させられました。
●地獄の修学旅行
それまで全く面識のなかったコミュニケーションスキルの極度に低い童貞男子6人が班を作り、3泊4日で京都・奈良を回るという、まさに「地獄」としか言いようのない修学旅行の幕明けです。
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