朝食が「時計遺伝子」を目覚めさせる

「健康」の定義とは?この問いに順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏は「私たちの体を構成している37兆個もの細胞に良質の血液を送ること」と答える。そのためには朝食をとり『時計遺伝子』を目覚めさせることが重要という。

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腸を活性化し、「質のよい血液」を体中の細胞に届ける


「ムーギーさん、『健康』って何だと思いますか?私にとって『健康』とは極めてシンプルなことです。私たちの体を構成している37兆個もの細胞、その一つひとつに質のいい血液を送ること──これに尽きます」

「健康」の定義とは何だろうか?この基本的な問いに対して、冒頭のように明快な答えをくださったのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏だ。

小林氏が述べる、質のよい血液とは「栄養素を十分に含んだ血液」のことである。栄養素は主に小腸で吸収されて肝臓へ、そして肝臓から心臓へと血液に乗って送られ、各臓器の細胞へと届けられる。この消化吸収のサイクルがしっかりと、健康を保ちながら回っていることが、小林氏が定義する「健康」なのである。

私たちは、食べ物を咀嚼し、飲み込んだら、食道を通って胃へ、さらに小腸、大腸を経て体外に排出している。この「消化」にまつわる一連のプロセスについて、小林氏は「消化吸収に関わる臓器たちが連携プレーをし合いながら、私たちの体を構成する37兆個もの細胞に栄養を与えるために働くことが『消化』なのです」と語る。その際に、ただ「食べる」のではなく、「食べ物からとり出された栄養素を確実に体に行きわたらせること」が重要で、中でも「消化」の要となるのが「腸」だという。したがって腸を疲れさせたり、怠けさせたりすることなく、常に快適に腸が働ける環境を整備することが重要なのだ。

では腸に常に最適条件で働いてもらうためには、どうしたらいいのだろうか。小林氏は次の3点を挙げる。

まず一つめは朝食をできる限り食べること。二つめは腸の環境をよくすること。そして三つめは自律神経を整えることです。朝食を食べることで腸が目覚め、1日の消化サイクルがスムーズに回りはじめます。後の二つは冒頭でお話しした、個人の健康状態を左右する『質のよい血液(栄養素を含んだ血液)』をしっかり全身に行きわたらせるという意味で、やはり消化機能の向上のために重要です」

私たちは外から栄養をとり入れなければ生きていけない。これから消化の仕組みをしっかりと理解した上で、最強の消化促進のための極意を見ていこう。

専門家が簡単解説!「消化」の仕組み

・消化とは、体中の細胞に栄養を配って回ること

食べ物を口に入れ、咀嚼し、飲み込んだら、食道を通って胃へ、さらに小腸、大腸を経て排泄に至る。これくらいは何となくイメージできるが、実際にどの臓器がどのように働き、消化吸収が行われているのかは、よく知らないという方が大半ではなかろうか。

そもそも消化とは、私たちの体を構成する無数の細胞に栄養を与えるために、消化吸収に関わる臓器たちが連携プレーをしながら働くことだ。

「食べ物は、口、食道から胃、小腸、大腸へと至る間に、少しずつ、それぞれの臓器で分泌される消化液によって栄養素へと分解、変形されます。そして腸に張り巡らされている血管から、「門脈」という血管を通じて肝臓へと運ばれ、さらに肝臓から心臓へと運ばれていくのです」

心臓は、血液を全身へと送り出すポンプ役である。血液に乗って心臓へと運ばれた食べ物の栄養素は、心臓から血液に乗って全身の各臓器の細胞へと運ばれる。

以上が大まかな消化吸収の過程だ。ちなみに、このプロセス中に消化できなかったり、不要とされたりした「ゴミ」は便や尿となり、体外へと排泄される。

それでは、この消化吸収のコンディションを整えるために、私たちができることは一体どのようなことなのだろうか。小林氏はまず第一に、朝食の重要性を指摘する。

【極意1】

「朝食」は極力とろう

──体を目覚めさせ、消化機能をスムーズに働かせる

・「食物の小腸滞在期間」は5~6時間

なぜ、1日3食、朝昼晩と、だいたい同じ時間に食べるのだろうか。この素朴な疑問に対して小林氏は、「実は、体のほうからすると、理にかなっているのです」と語る。一体どういうことなのだろうか。

規則正しく3食を食べる理由は『消化』という観点から見てみると非常に納得がいきます。食べ物は、まず食道から胃へ、そして小腸に入りますよね。小腸の長さは約6~7メートルで、食べ物が小腸のはじめから末端に至るまでに5~6時間。次に食べ物が行く先は大腸ですが、その長さは2メートルなのに、ここで食べ物は12時間もの間『滞在』するのです」

つまり、食べ物が小腸と大腸を経るまでに、合計17~18時間もかかるというわけである。この食べ物の「小腸」内での滞在時間が、「いつ食事をとるか」に大きく関係してくるという。

ちなみに、腸の表面積を合計するとたたみ10畳を超えるといわれており、そこに18時間にわたって食べ物を「置いておく」ことを考えると、体に悪いスナック菓子など、食べる気も吹き飛ぶだろう。

「通常、朝食というと7時くらい、昼食というと12時くらいですよね。もちろん多少のズレはあると思いますが、これをスタンダードとすると、時間の間隔は5~6時間。食べ物が小腸のはじめから末端に至るまでの時間と合致します

つまり、朝食で食べた物が小腸を通りすぎて、小腸が次の食べ物を受け入れる準備が整ったころに昼食をとることになります。朝、食べないと、まずこのサイクルが崩れてしまうので、やはり朝食はとったほうがいいですね」

食べ物が5~6時間かけて小腸を通り抜け、そこへまた新たな食べ物が入ってくる。そう次から次へと食べ物が来ては、小腸は休む間がなく、負担がかかりすぎるようにも思えてしまうが、そういうことでもないらしい。

「たとえばマラソンの途中で長時間、休憩をとったら、もう走りたくなくなってしまいますよね。これと同じで、小腸も働かない時間が長くありすぎると、働きが悪くなってしまうのです。だから、朝食と昼食の間が5~6時間というのは理にかなっているのです」

とはいえ食事の間隔が短すぎると、今度は、胃腸にストレスがかかりすぎ、腸内環境が悪化し、結果、肥満につながるという。

もちろん個人差があるだろうが、総じて「朝食はだいたい7時、昼食はだいたい12時」というのが生理学的に正しいのである。

・朝食は「時計遺伝子」をオンにする

加えて、朝食には「朝、体を目覚めさせる」という意味合いもあるという。小林氏が「朝食を食べるべき」とする最大の理由がこれである。

「ムーギーさん、『時計遺伝子』って聞いたことはありませんか?私たちの体の無数の細胞には、それぞれに『時計』が備わっています。それが時計遺伝子です。そして時計遺伝子のスイッチが入らないと、目は開いているだけで、体は目覚めたことにはなりません。では何が時計遺伝子のスイッチを入れるかというと、朝食なのです」

時計遺伝子は、夜、眠っている間はオフになり、それを再びオンにするのが朝食の役割なのだ。「朝食を食べないと、体内は夜、眠りについたときの状態から変化しにくい」と小林氏は指摘する。

「『朝食は金』という言葉が古くからありますが、昔の人はすごいですね。経験的に朝食の重要性をわかっていたのでしょう。朝食を食べるべきかどうかについては、いろいろな意見がありますが、体を日中の活動モードにし、常に消化促進するという意味では、朝食は食べるべきです。これに個人差はほとんどないでしょう」

そう聞くと、「朝食を食べなくても元気」「朝食を食べなくても朝から頭が働く」などと言っている人の姿が思い浮かんでしまうが、小林氏は「それは思い違い。朝食を食べずに朝から元気な人は、朝食を食べればもっと元気になるはずです」と話す。

多忙で食事の時間が不規則になりがちな人は多いだろう。ただし、「消化吸収の第一人者」を目指すには、朝食を軸とした1日の食事サイクルにもっと注意を払ったほうがいいのだ。

<同時公開中の「朝から晩まで最高の自分を引き出す、頭によすぎる健康習慣とは?」も一緒にお読みください>

<次回「腸内環境は「内側」「外側」からの刺激で改善できる」は、4月26日(木)更新予定>


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コメント

tomshirai 小腸も働かない時間が長くありすぎると、働きが悪くなってしまう 12ヶ月前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 約1年前 replyretweetfavorite