【健康診断の極意2】
異常なのに、正常とされるケースに要注意 大切なのは基準値よりも「経年変化」
前回記事<老いと病を寄せつけない、一生モノの習慣とは?><「健診」で国民の8割が不健康になる?>に続き、健診の真実について大櫛氏にお話を伺った。
大櫛氏曰く、健診では、基準値によって「正常なのに異常とされるケース」が多いが、中には不適切な基準の採用で、「異常なのに正常とされるケース」もあるという。こうなると、健診の基準値はつっこみどころ満載といわざるを得ないということである。
ここまでのところで、現状の法律では、企業は社員に健診を受けさせることを義務づけられている。だが検査で「異常」とされたからといって、必ずしも不健康とは限らないということを、私たちは学ぶことができた。
ここで私たちに必要なのは、検査結果を正しく受けとめる知恵である。たとえば後で述べるが、腹囲85センチでもメタボとはいえないし、BMIは30を超えない限り肥満ではない。他にも同様に、健診の「判定」を鵜呑みにしてはいけないものがある。
「LDL(Low Density Lipoprotein)コレステロールや血圧は、少しくらい基準値を超えても、あまり気にしなくて大丈夫です。たった1回、少し基準値を超えただけで下手に精密検査を受けたり薬を飲んだりすると、かえって害のほうが大きいというデータもあります。
それより注目すべきは、経年変化です。たとえば3年連続で、空腹時血糖値や赤血球へのブドウ糖の結合している率を示すヘモグロビンA1cが上がり、基準値から離れていっているとしたら注意が必要ですね」
「また、この二つの検査項目や肝機能の解毒作用に関わる酵素であり、肝臓に異常があると肝臓から血液中に流れ出てくるγ‒GTP(ガンマ‒グルタミルトランスペプチターゼの値)などでは中年男性の基準が採用されていますので、若い女性は早期の異常が見逃されて重症化していることがあります。本来、検査の基準値は性別と年齢で違うのです。また、人種によっても異なる可能性があります」
基準値によって「正常なのに異常とされるケース」が多いが、中には不適切な基準の採用で、「異常なのに正常とされるケース」もあるのだ。
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