◆#10◆
「じゃ、始めるぞ。最終目的のサーバーは何階だ」
『13階』鉄輪が答えた。『だけど直接はダメだよ』
「なんで? このIDは使えないのか? 厳重なの?」
『14階北側の総務エリアには、それで入れる。だけど13階サーバーフロアの必要権限はそれじゃ不足』
おれは嫌な予感がした。鉄輪が続けた。相変わらず偉そうだった。
『まずONDOのイントラに……端っこでもいいから、アクセスしないといけない。だからまずは14階の北側総務エリア。そこで13階にアクセスするためのアカウントIDを入手して。ソーシャルでよろしくね』
「ソーシャルかあ」
おれは呟き、奥野さんと目を見かわした。奥野さんは無言のままだ。
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