モリワキエンジニアリング×丸若屋のiPhoneカバーはこうして生まれた

自分のスマホを特別なモノに変えたいならこれ。5月23日発売のiPhone5カバー「Collect of Japan」は、アルミ総削り出しオリジナルフレームに、鹿革の印傳プレートを合わせた逸品。レーシングバイク界で名を轟かせるモリワキエンジニアリングと、日本の美しきモノを世に送り出す丸若屋のコラボレーション作だ。丸若屋代表の丸若裕俊さんに、これがどれほど「モノが違う」のか教えてもらおう。

「わかる人にはわかる」と凄腕職人はいう

— iPhone5カバー「Collect of Japan」の外見は端正で、机のうえに置くとすぐその場に馴染みます。

丸若裕俊(以下、丸若)いいものは決して悪目立ちしたりしませんからね。手にとってもらうと、またすこし印象が変わりますよ。

— 持ってみて真っ先に浮かぶのは、「軽いっ」のひとこと。カバーなんて着いていないみたい。iPhoneってこんなに軽かった? とも思ってしまいます。

丸若 そうですね。実際、何も着けていない状態にかぎりなく近いといっていい。なにしろモリワキエンジニアリングは、ふだんレーシングバイクを自社で開発・設計・制作していて、世界グランプリを幾度も制してきた集団。先端機器を使った精度の高い加工技術と、熟練の手作業を組み合わせて、どんなプロダクトもすさまじく高いレベルでつくり上げてしまう。このカバーだって、ふつうじゃありえない薄さと精度でアルミを削り出してあるんですよ。最高峰の技によって、金属で覆っているのにそこに何もないと思わせるほどの感触を生み出しています。

— 触ってみてはじめて気づくすごさがありますね。

丸若 モリワキの職人の方に言わせれば、「実物に触れた瞬間、わかる人には、これがどれほどのものかわかるはずだ」と。そこまで言うのも、たしかに納得できますよ。ネジを通すための穴なんて、もうあとほんの少しでも削ってしまえば切れてしまうギリギリのところで貫かれている。他じゃちょっとできない技術です。また、電波障害などの問題回避のために、0.05ミリ単位というレベルで本体との隙間も持たせているんですが、それでもぴたりと収めるところは収めて、ズレを感じることなど決してないよう仕上げてあります。

ジョブズの意を汲み黒子に徹したカバー

—そこまでしてこその、「カバーなんてないような感触」だったんですね。

丸若 アルミ素材でカバーをつくれば、ふつうはかなりモノ自体に自己主張が出てしまいます。今回、それは避けたかった。制作の過程で、僕は限りなくモノとしての主張をゼロにしてもらいたいとお願いしました。スティーブ・ジョブズは生前、iPhoneにカバーを着けるのは罪だと言っていました。iPhone自体が美しいプロダクトなのだから、その言い分はよく理解できます。ただ、彼は「それじゃ壊れてしまうのだけど」というユーザーの声には応えていなかったということにもなる。そこで僕は、ジョブズの気持ちを汲んだかたちで、カバーをつくれないかと考えました。つまり、できるだけiPhoneそのものに寄り添った、あくまでも黒子に徹するようなカバーにしたかった。

— 黒子に徹するというモノにするという方針は、実際にアルミを削り出す職人の方々にすんなり了解してもらえたのですか。

丸若 いえ、じつはそうでもなく。アルミの削り出しをすると、表面に幾本も薄い線が入ります。それは削り出しをしている証しでもあって、その有無が粗悪なものときちんとしたモノを区別する目安にもなります。今回のケースにももちろん線は入っていますが、僕は表面を黒く塗りましょうと提案したんですよ。そのほうが黒子に徹したモノになると思ったから。でも、職人の方々は最初、やっぱり反対しましたね。つくり手の汗の結晶である線を消すとは何事か、と。

— 職人と衝突するなんて、モノをつくるうえで致命的では? どのように解決されたんですか?

丸若 ひたすら話し合い、お互い納得いくよう説明するだけです。そのときは漆を例にしました。漆工芸は、まずは木材を選びに選び、そのうえに何重にも塗りを重ねていく。でも、最後には真っ黒にして仕上げられますね。だから、内側はどうなっているのか、正確なところはわからない。ただ、そういうプロセスを経ないかぎり、あの深い黒色は絶対に出ません。それは職人ならばもちろんわかってくれます。漆と同じように、アルミ削り出しをやるときにも、見せないことの贅沢というのがあり得るんじゃないですか。そんな説明をしたら、そうかわかったと理解していただけましたね。

「無駄」を貫いて贅沢さを生み出す

—上質な漆の黒色のように、控え目で深みのある贅沢さ。それがこのカバーで表現しようとしたことなんですね。

丸若 無駄を重ねてこそ達することのできる贅沢な境地というものはあると思いますね。もともとこのケースだって、よく出回っているものに比べればずっと値が張るわけで、「そんな高いケース必要ないだろう」と言われてしまえばそれまでのこと。でも、これがはなから無駄なものであるとするならば、とことん無駄を貫かなければいけない。そうしてこそ、このケースは意味を持つ。ものごとは徹底してこそ、はじめてそこに価値が生じるものです。黒子に徹するという方針でつくられたこのケースは、ひょっとするとすごさに気づかず通り過ぎる人だって多いかもしれない。でも、もののよさを感じ取ろうと敏感になっている人がたまたま手に取ったとき、深いところにまで響いてくれたらうれしい。広告の画面で見かけたときに、誰もがそこそこ好感を持つモノよりも、ちゃんと向き合ってもらったときにその人の心を捉えて離さないモノ。そういう存在を生み出せたらといつも思っています。

丸若裕俊(まるわか・ひろとし)
1979年東京生まれ・シツラエルヒト。2010年、株式会社 丸若屋を設立。
「時代に従うモノづくりではなく、時代を創造するモノづくり」をテーマに プロダクト・プロデュース、プロジェクト・プランニングを日本最高峰に特化した、 伝統工芸から最先端工業技術との取り組みまでを行う。

丸若屋
http://maru-waka.com/

<iPhone 5 カバー販売店 5月23日より順次発売中>
・丸若屋 円游庵 ONLINE SHOP
http://maru-waka.com/online-shop

・Sumally 「丸若屋/円游庵」公式ONLINE SHOP
http://sumally.com/maruwakaya_enyuan

・ 代官山 蔦屋書店
東京都渋谷区猿楽町17-5 3号館1F(文具フロア)
(03) 3770 2525

・代官山 蔦屋書店 ONLINE STORE
http://tsite.jp/daikanyama/ec/tsutaya/word/103/%E4%B8%B8%E8%8B%A5%E5%B1%8B/

インタビュー
山内宏泰
やまうち・ひろやす
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を継続開催中。http://yamauchihiroyasu.jp/

写真
キベ ジュンイチロウ
1982年生まれ。福岡県出身。大学新聞部での取材をきっかけに写真を始める。在学中から、フリーランスとして仕事をはじめ、大学卒業後はベンチャー企業に5年間勤務。2011年、独立してフリーランスに。得意な被写体は「人」。http://www.kibenjer.net/

 

ケイクス

この連載について

日本の美を結集した至極のiPhone 5 cover「Collect of Japan」

山内宏泰

自分のスマホを特別なモノに変えたいならこれ。5月23日発売のiPhone5カバー「Collect of Japan」は、アルミ総削り出しオリジナルフレームに、鹿革の印傳プレートを合わせた逸品。レーシングバイク界で名を轟かせるモリワキエ...もっと読む

関連記事

関連キーワード

コメント

Noreek_B129 ほしー。でもiPhone4…(。-_-。) 5年弱前 replyretweetfavorite

maruwakaya_news コルクさんで丸若屋の活動を取り上げていただきました!“@corkagency: 日本最高峰とのものづくりを続ける丸若屋が、 約5年前 replyretweetfavorite

corkagency 日本最高峰とのものづくりを続ける丸若屋が、 約5年前 replyretweetfavorite