紹介制の高級バーで出会った変わった客

【理想の夢⑤】
気の置けない会社の仲間と寄った高級バー。そこで、ストリーミングサービスの会社で働いているという男に会った。その男は「夢工場」の話をしてきた。最後に残した「本当に使っていなかったんだ」という言葉の意味を知るのは、もう少しあとだった
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>

イラスト:堀越ジェシーありさ

2018年5月23日、 WEAVER 河邉 徹、小説家デビュー作『夢工場ラムレス』発売決定!
発売に先駆けてWEAVERの杉本 雄治が手掛けたテーマ曲とともに 『夢工場ラムレス』の世界を映像化!



 三人には、以前から通う行きつけの会員制のバーがある。仕事が上手くいった時などは、ここで小さな飲み会をする。
 紹介でしか入ることのできない高級バーであるここは、以前テレビ局の偉い人に紹介してもらってから、足繁く通うようになった。もちろん普通に酒を飲んで楽しむことが目的だが、ここにいれば、普通の店では会えない人と会えることもある。芸能界やスポーツ界の著名人も来ることがあるのだ。

 最初の頃は、一人でよくここに来ていた。加藤はここで何人かの起業家達と知り合い、会社を経営する上での重要なアドバイスを幾つももらった。
「会社が大きくなると、自然とこんなヤツが現れるから信用するな」「相手がこれを要求する時は、つまりこういう意味で言っている」など、実体験に基づいた助言は、今でも加藤にとって財産になっている。

 ラグジュアリーな雰囲気で十分なスペースのあるバーだが、今日は客の入りが少ないようで、他の客が数人いるだけだった。三人はソファーの席に座って静かに飲んでいた。

 加藤がトイレに立ち、帰ってくると、一人の知らない若い男が内田に話しかけているようだった。ナンパされているのかと思ったが、そういう客が入れるような店ではない。まだ二十代後半くらいだろう。遠目でもわかるその瞳の黒さに、加藤は一瞬引き込まれそうになった。

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夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

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