イラスト:堀越ジェシーありさ
「おい、ここに来たら願い事が叶うって本当か? どんな願いでも叶えられるって聞いたぞ」
加藤は横柄な口調で尋ねた。
「どんな願いでも叶う、というのは正しくありません。しかし、望んだ通りの夢なら、見ることができます」
これが橋本の言っていたやつか。機械のような女。言葉を間違えなければ、こちらの思った通りにことが動くはず。
現実世界とは思えない空間に、変な格好の女といる。これを夢と呼ばずに何と呼ぼうか。しかしそれと同時に、体の感覚全てが、ここはただの夢ではないことを告げている。
——夢工場。
馬鹿げた名前を初めて聞いた時は、映画や本のタイトルかと思った。さらにそんなもので世界を動かしている奴がいると知った時は、狐につままれたような感覚だった。
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