名刺ゲーム

ヤラセか、演出か……お前のエゴか。

ヤラセを知っているのに知らないフリをして遠回しに言ってくる人間に、そのいやらしさに、人は恐怖を感じる――。謎の男から、ヤラセ番組について詰められた神田は、自分の番組でもみ消した、とあるヤラセ事件を思い起こす。
自分の中で「演出を超えた」と思ったら「ヤラセ」になる。それは微妙なさじ加減でしかない。それに振り回される犠牲者だって、些細な犠牲でしかない――。エゴ剝き出しのモノローグ満載の『名刺ゲーム』!

3rd Stage

2 玉虫色のスカーフの男

—もしかして神田さんの番組でヤラセがあったとか?

 こういう時、ヤラセを知っているのに、知らないフリをして遠回しに言ってくる人間に、そのいやらしさに、人は恐怖を感じるんでしょうね。

—でも、私はね、テレビ番組のヤラセが悪いとは思ってない。

 神田さん、僕のこの考えが本心かどうか探るような目で聞いてきましたよ。

—なぜ、そう思うんですか?

—だって、私たち、視聴者を楽しませるためにやってることでしょ? 違う?

—かもしれませんけど。

—だとしたら、それはヤラセじゃなくて演出かなと思うんです。

 これ、私、本当にそう思ってるんです。最近では視聴者がヤラセだなんだとかなり細かいところまで指摘するようになったでしょう? あれ、どうなんでしょうね。

 だってね、ドラマでどんなことが起きてもヤラセだと言う人はいないのに、バラエティーだとすぐにヤラセだと言う。ドキュメンタリーとかノンフィクションとうたっておいて噓をつくのはよくないと思います。でも、バラエティー、人を楽しませようとするものですからね。幸せにしようとしてる。そこで起きてることは「演出」なんじゃないのかなと思うんですよ。

 会社でもよくあることですよね。

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この連載について

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名刺ゲーム

鈴木おさむ

家族も部下も切り捨て、人気クイズ番組のプロデューサーまで上り詰めた神田達也。ある夜、息子を人質にとられた神田は謎の男から「名刺ゲーム」への参加を命じられる。だがそれは、人間の本性を剥きだしにしていく《狂気のゲーム》だった――。WOWO...もっと読む

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marekingu #スマートニュース 2年以上前 replyretweetfavorite