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『専業主婦は2億円を損をする』
女性が優遇されている会社は働きやすい?
外国で子育てを「外注」しながらはたらくというのは有効な戦略ですが、もちろんだれもができるわけではありません。日本の会社ではたらきながら、子育ての「罠」から抜け出す方法はないのでしょうか。
最初に思いつくのは、「子育て支援が充実して、出産しても以前と同じようにはたらける会社」に就職する、というものでしょう。日本でも、数は少ないもののそういう会社はあるでしょうし、「女性が活躍できる」会社に優秀な女性が集まり、「活躍させない」ダメな会社を淘汰していく、というのが資本主義のあるべき姿です。
こうした努力をけっして否定するわけではないとことわったうえで、わたしのよく知っているケースを紹介しましょう。
その会社は、「日本でもっとも女性がはたらきやすい職場のひとつ」といわれていて、創業者や役員は男性がほとんどですが、幹部や中間管理職をふくめ9割以上が女性で、社内で男性の姿を見ることはほとんどありません。産休、育休、時短勤務、在宅勤務の制度もととのっていて、産休復帰率は100%です。
これだけ聞くと、「素晴らしい」と思うでしょう。実際、子どもを育てながらはたらくには、とても恵まれています。
ところが不思議なことに、この会社に外部スタッフとしてかかわった女性たちは、口をそろえて「あそこの社員はぜったいムリ」といいます。なぜでしょうか。
それは、女性たちのなかにさまざまな「階級」ができてしまうからです。
まず、入社して数年の若い女性たちがいます。彼女たちは、キャリアを積みながらも、いずれは結婚して子どもをもちたいと思っています。
次に、育休明けで時短勤務の女性たちがいます。年齢的には20代後半から30代半ばで、仕事でも責任ある立場ですが、午後3時になると「あとはよろしくお願いします」といって子どもを迎えに帰ります。
その上には40代以上の管理職の女性がいます。彼女たちのなかには、子育てが一段落した女性もいれば、結婚せずに独身のままはたらく女性もいます。離婚してシングルマザーになった女性や、不慮の事故や病気で夫がはたらけなくなって家計を支えている女性もいます。
自分にベストな戦略を練る
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