もしも自分が死んでいるとしたら、何がしたかったですか?

心の平安を取り戻しつつあった百鳥ユウカさんは、近くの公園で意外な人物との再会を果たす。

池崎がガラになく真面目にユウカに「愛」を語ったあの夜から、ユウカのモヤっとした得体の知れない感情は鎮静化していった。

心に吹きすさんでいた隙間風はやみ、この春の穏やかな陽だまりのようにユウカの心にも温もりが戻り始めていた。

未だに就職もせず専業主婦然としているユウカはとにかく時間だけはたっぷりあるのだが、とりわけ趣味があるというわけでもない。

ダラダラとワイドショーや再放送のドラマを見ているのも飽きてきたユウカは、散歩がてら近くの公園へ歩いて向かった。すると、

「お久しぶりです。百鳥ユウカさん」

まったく知人に会う気がしない横浜で、フルネームを呼ばれたことに驚き、ユウカは振り返った。

「えっ!?」

そこには予想もしない人物が立っていた。

「ユウカさんとこんな場所で再会することになるとは、思ってもみませんでしたよ」

それはこっちのセリフだ、とユウカは瞬時に思ったが口にはしなかった。

だって、この男、神戸で居候をしていたときにお世話になっていた竜平さんに紹介されて出会った、自称「結婚請負人」の幕田揚(まくたあきら)。

この男には、婚活パーティーに何度か連れ出され、さんざん嫌な思いをさせられた記憶しかない。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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コメント

syokop <死んじゃったらきっと、本当は多くのことを望んでいなかった、って気付くんじゃないですかね> なるほどー。 2年以上前 replyretweetfavorite

ikb 『人間は多くを望みすぎるということです。それも望んだほうが豊かになれると思っている。でも本当のところ、望み過ぎても幸せにはなれないってことです』 うお。刺さった。 2年以上前 replyretweetfavorite

vegiwo 考えてみたけど、今やりたいことはちゃんとやれてるかな。>> 2年以上前 replyretweetfavorite