言うことに説得力がある場合には、大きく2つのパターンがあります。ひとつは、言っている内容が説得的な場合です。もうひとつは、説得力がある人が語る場合です。今日は、後者について考えましょう。前者については、次回考えます。
テレビのニュースショーやワイドショーを見ていると、政治、犯罪、貧困、スキャンダル、ゴミ屋敷、手抜き家事のコツ、健康法などなど、毎日、実にいろんなことが報じられてます。こうした番組では、アナウンサーの横に、それぞれの出来事について一言コメントする人が座っています。弁護士とか、大学教授とか、医者とか、脳科学者とか、○○評論家とかいった人たちです。
こうした人たちの中でも端的に一言コメントが言える上手い人は、いろんな番組に出るようになります。そうすると不思議なことが起こります。最初は、自分の専門分野についてのコメントをします。例えば離婚裁判に強い弁護士が、芸能人の離婚騒動にコメントをするといった塩梅です。しかし、テレビに出続けると、オリンピック選手の化粧についてとか、桜の開花予想とか、花粉症とか、電車の遅延とか、自分の専門に関係ないことにまでコメントをするようになります。いつの間にか、世の中のあらゆる出来事についてコメントするようになるのです。
これってよく考えたら不思議ですよね。その弁護士は、桜の専門家ではありません。その人のコメントって、別にわたしたち一般人が思いつくことの域を超えていません。しかしこうした人たちは、短い言葉で断定的にコメントをすることもあり、もっともらしく聞こえるのです。
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