美をさがしもとめるのが生業である。
きょうは、こんなうつくしいものを見つけた。
ストイックな芸人魂と、それを受け止め大きな花にして咲かせる編集者の業。
ロバート秋山竜次の大ヒットネタ
たとえば、ファッション界の先端を泳ぎ続けるトータル・ファッション・アドバイザーのYOKO FUCHIGAMI。
または、人気子役で「劇団えんきんほう」に所属する上杉みち。
これらの人物、見覚えや聞き覚えのある向きも多かろう。
実在はしないのだけど、いかにも「どこかにいそう」なクリエイターたち。お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次さんが、「クリエイターズ・ファイル」という企画内で、なりきって演じているキャラクターだ。
トータル・ファッション・アドバイザー:YOKO FUCHIGAMI/©️クリエイターズ・ファイル
子役:上杉みち/©️クリエイターズ・ファイル
「クリエイターズ・ファイル」は、丸善・ジュンク堂・文教堂など大型書店で配布されている月刊フリーペーパー「honto+」の連載企画。誌面と同内容を動画でも撮影し、毎月YouTubeで配信もしている。この再生回数、累計でじつに6千2百万回超というから人気のほどが窺える。
続々と生まれ出るキャラクターを一堂に紹介しようと、2017年には「クリエイターズ・ファイル祭」と題した展覧会を、東京池袋のパルコミュージアムで開催。こちらも評判を得て、展示は1年間かけて全国のパルコを巡回。トータルで25万人超が来場する大ヒットを記録した。
現在も毎月、「honto+」誌上で新キャラが誕生している。2018年4月号に登場したのは、自転車で世界中を旅して回っている折原福之介。彼が37人目のクリエイターだ。
ワールド・トラベル・ママチャライダー:折原福之介/©️クリエイターズ・ファイル
テレビ発のお笑いと、何がいったい違うのか
「いそうでいない、でもひょっとしたら本当にいるかも?」と本気で思わせる迫真性。
各ジャンルのクリエイターを、おちょくりながらもリスペクトする姿勢。
大規模なセットを用意したりせず、手づくり感あふれるテイストなのに、クリエイティブの質は極めて高い。
そんな特性を備えた「クリエイターズ・ファイル」は、世に数多あるお笑いネタのひとつだけれど、テレビ番組で見かけるお笑いとは明らかにひと味違う。
独自路線を貫くこのコンテンツ、どう生まれてどのようにつくられているのか。企画立ち上げ時からロバート秋山さんと二人三脚で歩み、プロデューサー役を務める編集者、三枝亮介さんが話す。
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