◆#8◆
「ONDOのほうに通達は?」
「もちろん、既に」
武田さんは溜め息をついた。既に通達をしたが止まらず……つまり、はぐらかされたり、誤魔化されたりして、解決に至っていない。
原因は解っている。この会社自身の規模だ。セグメンテーションが酷すぎて、ちょっと聞けば済むことでも、部署が違えば無限の時間が必要になる。担当者の不在。担当者の休暇。担当者に確認して折り返し。その間に10日20日と時間が経過する。だから誰も責任を持ちたがらない。
逆に言うと、そこを悪用すればいくらでも引き延ばし工作はできる。本社の上層部にコネがあれば異議申し立てをもみ消すこともできる。この第二IT事業部第三デジタル・コンテンツ推進課にあるONDOは……確か名前は忘れたがワンマン傾向のある役員が一気に吸収を進めた会社だ。