シャープの黒字転換はサインが出ていた
2012年の夏場を過ぎた頃のことです。自宅のリビングでくつろいでいると、テレビからシャープのスマートフォンのコマーシャルが流れてきました。
その頃シャープというと、ソーラーパネルのCMをたまに見かける程度だったので、私は「おや?」と思いました。
「経営危機のシャープがCMを増やしている。何かありそうだ」
皆さんもご存知のように、テレビでCMを流すには莫大な広告料が掛かります。シャープの場合は俳優さんを起用し、本数もまとめて出すので、億単位の費用が掛かっていても不思議ではありません。
当時、シャープはいよいよ倒産するか、買収されるだろうといった論調の記事が多く出ていましたが、私はCMを見て2通りの仮説を立てました。
一つは、「このCMはシャープの財務状況が改善に向かっているサインだ」という仮説。
もう一つは、「最後に一花咲かせようとやけっぱちでCMを打っている」という仮説です。
それからしばらくシャープに関連するニュースを見ていましたが、どうやら前者の仮説のほうが正しいのではないか、という思いを強くしました。
つまり、シャープがCMを増やしているのは、業績にある程度の自信を持てるようになったからだと考えたのです。
年が明けて2013年2月。12年10~12月期(第3四半期)の連結決算が発表されました。蓋を開けてみれば当初計画の赤字から一転、26億円の営業利益を計上し、5四半期ぶりに営業黒字となりました。
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