オフィスハック

クソな部署間根回し競争

肥大化し身動き不能となった巨大企業「T社」。社内調整専門部署「四七ソ」の香田と奥野に、今日も新たな社内調整指令がくだる。オフィスの中のクソ野郎どもを、スタイリッシュかつアッパーに撃ち殺せ! テイルゲート! ショルダーサーフ! 禁断のオフィスハック技の数々を正義のために行使せよ! ◆全サラリーマン必読のスパイアクション小説『オフィスハック』より第1話「ONDO社の社内調整」を連載!◆

◆#6◆


「でも、うち以外の部署だって、実際そうじゃないスか?」おれは意識高く食い下がった。「承認を取るのにも、いくつ部署を経由してるのかイマイチわからないし、いざ動くかって時になると、やれこの件はあの部署の縄張りだからどうとか、この件の協業はあの部署に事前に根回ししておかないとだとか……バカバカしくて、ホント」

「なんだよォ、結構溜まってるンだね、香田ちゃん。ウチに異動してきたのは運命だったかな」

「そうかもしれないッスね。適性だと思ってないと、やってられないというか……」

 ちらりと見たが、奥野さんは黙って聞いている。奥野さんは基本的にノーコメントだ。わからない事は口にしないという、わきまえたスタンスなのだ。おれは自分を棚に上げて、奥野さんのそういうところが信頼に足ると感じていた。

 やがてエレベーターは60階に到達。気圧の変化で耳抜きをしないといけない。おれ達三人はそのまま廊下からガラス張りの通路へ渡り、屋上庭園に出た。庭師業者が植え込みの剪定を行っている横を通り、おれ達は設置された丸テーブルの席に座った。隣にはキヨスクめいた売店スタンドがあり、ドリンク類の注文が可能だ。

「奥野さんはどう、もう慣れた? 四七ソの雰囲気。困ってること無い?」

「まだまだ勉強不足ですが、よくしてもらっています」

 奥野さんはいちいちかしこまって室長にお辞儀をした。

「ならよかった。香田ちゃん、あれ見て。水仙が咲いてるよ」

「はあ。凄いですね」

「せっかくこんな場所が用意されてるんだから、緑を愛でないとさ」

「いいと思いますよ……あ、来たんじゃないですか」

 おれは室長の肩越し、こちらに向かってくる社員の姿を見た。

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オフィスハック

本兌 有,杉 ライカ,オノ・ナツメ
幻冬舎
2018-04-19

この連載について

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ダイハードテイルズ

これぞ日本版キングスマン/会社あるあるが笑える/スカッとする!/早く映像化して! などTwitterで話題のスパイアクション小説『オフィスハック』(著:本兌有・杉ライカ、画:オノ・ナツメ)をリバイバル連載!(あらすじ)「ウチの不祥事が...もっと読む

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コメント

anexus61251 「…ウチに異動してきたのは運命だったかな」「そうかもしれないッスね。適性だと思ってないと、やってられないというか……」個人的にはこの春新しい部署になったので、沁みる 8ヶ月前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 8ヶ月前 replyretweetfavorite