木山光
僕がクビになってから二か月経った時だった。たまたま事務所のテレビで「ミステリースパイ」をやっていた。チャンネルを替えたかったが、残念ながら食いついている人がいたので替えられなかった。その日の放送で信じられないクイズが出題されていた。
「青いバラ」についてのクイズと実験。明らかに僕が提出したものだった。クビになった日の一番最後に書いてあった自信のネタ。僕をクビにしながら、ネタだけパクッた。
神田達也は僕のことをクビにしたあと、僕のクイズ案を自分のアイデアとして発表した。人を殺しておいて、さらに内臓を盗んで医者に売りさばくような真似をされた。
乗るはずじゃなかったレールに、僕を乗せた神田さんが、目の前で名刺と僕らの顔を見比べて必死になっている姿は気持ち良かった。手を叩いて喜びたかった。
神田さんが二枚目の名刺を僕に返したあと、あの人の声が響きました。
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