42 フラワー卓球クラブ(日変わり)
元信、美佳、優馬ら、感動と興奮とド緊張。
優馬「(興奮気味にぼそぼそと)第9回県大会バンビの部優勝、第21回少年少女卓球大会準優勝、第12回県大会ホープスの部優勝、第31回……」
一同の前で、ジャージ姿で沈んだ表情の多満子。
多満子「……富田多満子です」
元信「お、落合元信52歳!落合農園経営!卓球歴3年8か月!ペン裏ドライブ型!よろしくお願いします!」
美佳「落合美佳と申します。夫と一緒にプチトマト作ってます……手前みそですがこれ、プチトマト大福」
プチトマト大福を多満子の手にのせる。
優馬「……さ……佐々木優馬……カット主戦……」
弥生「元天才少女に最初に手合わせしてもらうのは誰?」
元信、美佳、優馬、激しい譲り合い。
元信「いやいやいやいやどうぞどうぞどうぞ」
優馬「無理無理無理どうぞどうぞどうぞ」
美佳「とんでもないとんでもない勿体ない勿体ない」
元信「や、やめろ!押すな!押すなって!」
多満子・弥生「……」
すると戸が開いて、誰かが入ってきた。
萩原、無愛想にぺこりと挨拶し、シューズを履き替える。
一同は、よそよそしく「どうも」などと挨拶。
弥生「最近入った初心者の……えーと何だっけ」
多満子と萩原、見合っている。
多満子「……(弥生にささやく)変質者」
弥生「え……?」
萩原「……クリーニング代払ってくれません?」
多満子「あれは……あなたが私を押し倒したから……」
元信「お、お、押し倒した?」
萩原「え、俺のせい?」
多満子「あなたが私の上に乗っかったから、私も我慢できなくなっちゃって」
美佳「ええ?」
萩原「ふらふら俺んとこに来たのはあんただよね」
多満子「あなたが立たなければよかったんですよ」
萩原「あんたが俺に密着してきたから立ったんだよ」
多満子「あなたがやらしい目で見てたから私は……」
優馬「何の話をしてるんだああ!」
多満子「……」
萩原「……あんた今日から?」
萩原、ラケットを多満子に差し出す。
萩原「俺が勝ったら、あんたがクリーニング代払うってのは?」
多満子「……」
多満子、ラケットを受け取った。
萩原、サーブを打つ。
次の瞬間、目にもとまらぬスピードのレシーブを打ち抜いた多満子。
一同「……(息をのむ)」
萩原「……」
多満子「……」