22 同・体育館(日変わり)
江島、手を取って愛莉に教えている。二人とも楽しそう。
見ている多満子、江島と目が合い、満面の笑みを作って手を振る。
江島、微妙な表情で小さく手を挙げただけで、すぐに愛莉の指導に。
多満子「……(自分に言い聞かせるように小さくうなずく)」
多満子の声「もしもし私、大会近いから大変だよね、邪魔する気はないんだ。たまには声聞きたいなって」
江島の声「小笠原とミックスに出ることになっちゃってさ」
23 江島のマンション・部屋(日変わり・夕)
江島の声「あ、ミックスって男女混合ダブルスね。正直、彼女やりにくくて、相性よくない。へとへとだよ」
多満子の声「(ちょっと嬉しい)そっか、大変だね」
江島の声「早く大会終えて、多満ちゃんに会いたいよ」
豪華な料理が準備してある。手作りバースデーケーキも。『ハッピーバースデー江島くん』
鏡の前で、自分自身をプレゼントに見立てたリボンの飾り付けを手直ししている多満子。
江島が帰ってきた気配。
多満子、電気を消し、わくわくして身を隠す。
江島がすぐそばに来た気配。
リボンを付けた多満子、飛び出す。
多満子「サプラーイズ!」
目の前で、江島と愛莉がもつれ合っていた。
多満子「うわあーッ!」
24 渚テクノロジー・イベントスペース(日変わり)
舞台袖、チアリーダーの多満子、どんよりした顔。
「わー!」と飛び出してゆく庶務課女子一同。
江島と愛莉の壮行会。
江島と愛莉の目の前で応援ダンスを踊る多満子。
沙希「行け行け江島!頑張れ頑張れ愛莉!」
庶務課女子一同「二人は最高!二人は最高!」
多満子「(死んだ魚の目)」
江島・愛莉「……」
江島・愛莉の眼前で踊り続ける多満子──。
25 同・庶務課
課長のデスクに置かれた退職届。
26 ローカル線
走る列車。冬の情景。
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