「あの雪の日です!」
『マツコ&有吉 かりそめ天国』で、地域のNo.1キャバ嬢を決定する不定期企画に登場する飯尾和樹だが、2月の放送回では東京が大雪に見舞われた日の収録となった。飯尾は開口一番、「あの雪の日です!」と言った。とてつもなくハイセンスではないか。1月23日、都内で20センチ以上積もった大雪の日のロケを数週間後に見ることになる視聴者が、画面に映る大雪をどのように捉えるかを予見している。視聴者の捉え方とはまさしく「あの雪の日」であった。それを、雪が降っている現在から予告してくる。メンタリストなる職種よりもよほど人のメンタルを見透かしている。
「現実的な話をしようよ」とか言う人
飯尾和樹には「現実逃避シリーズ」というネタがある。「平日の昼間からゴロゴロォゴロゴロ」と言いながら、「あ~あ~ ウインクひとつで何でも手に入ったらなぁ~」などと添えるネタだ。大人になってからというもの、「たられば」の話をしていると、「現実的な話をしようよ」と遮ろうとする人が結構いるので驚く。そもそも、あなたの現実とわたしの現実は違う。まず必要なのは互いが持つ思考の振れ幅を知ることであり、そのために「たられば」を重ねて感性を把握することは何より現実的なプロセスだと思うのだけれど、そんな模索をしているうちに、現実的な話を好む人は現実的な人と現実的な話をしている。そして平日の昼間に取り残されるのだ。
「現実逃避シリーズ」で最も好きなのは、「あ~あ~ 『あなたの生き方が好きよ』って加賀まりこさんに言われたらなぁ~」と、「あ~あ~ なにかしらワールドクラスのモノ、持ってたらなぁ~」の2つである。少し前に『置かれた場所で咲きなさい』という本が流行ったけれど、一見、「平日の昼間からゴロゴロォゴロゴロ」と同義にも思える。現実逃避シリーズは、とにかく置かれた場所を動かない。だが、咲こうともしない。現状の自分を肯定してくれる他者や、自分でも未だに発見できていない何かが自己負担ゼロで発掘されることを望むのだ。
その状況把握能力
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。