MLBドジャースもブルックリンからロサンゼルスへ移っただろ?

【小説の展開】交渉相手の本拠地ラスベガスに乗り込んだ伊織たち。カジノ王であるジェリー・オードリーにスポーツビジネスの提案をする。ギャンブル性に満ちた提案だったが、ラスベガスが「脱カジノ都市」へ方向を変えはじめた社会背景もある。オードーリーは最高のスポーツエンターテイメントを求めていた。鼻先へ餌を吊すような提案。カナダ人でもあるオードリーの夢を強くくすぐったのである。

*主人公の無瓢 庵(ムヒョウ アン)。背番号99。23歳。アスリート&中華料理のシェフ見習い。実際の女子アイスホッケー代表チーム「スマイルジャパン」に架空のアスリート、アンが参加して物語は進みます。

32.お気を付けあそばせ。男のロマンチックは諸刃の剣なんだから

 ラスベガスのオードリー・リゾート。
 カジノホテルを核とする施設の総敷地面積は16,000平方メートル。客室数5,000はラスベガスでもトップ5に入る規模だ。
 1940年代、ここはラスベガスの開発時期に創立された中規模のカジノホテル「シーグラー」だったが、60年代の終わりにカナダのオードリー社が買収したうえ、巨額の投資を行い、カジノリゾートへ変貌させた。

 オードリー家はカナダ西部のアルバータ州フォート・マクマレーに山林を持っていたが、1920年代、地下がオイルサンド層であることがわかり、一躍成金となった一族である。

 オードリー社の現オーナーはジェリー・オードリー。

 21世紀のエネルギーと呼ばれるシェールガス精製事業は継続的な利益を産みはじめていたが、ジェリーは採掘権を売却した。ジェリーの母がラスベガスの「ショーガール」でそのDNAを受け継いだのかもしれない。地面を掘り返すだけの人生に我慢できず、けばけばしさと金とセックスという虚飾が金を産む世界に勝負をかけたのである。売却で得た資金で「シーグラー」を買収し、周辺の土地も買い足し、客室を増やし、カジノを拡大、3,000人収容のステージを作り、マイケル・ジャクソンやダイアナ・ロスのコンサート、ボクシングのタイトルマッチを開催するなどして、一大リゾートホテルへと進化させたのだ。

 ところが21世紀。ラスベガスが変わりはじめた。都市交通が敷かれ、「ファッションショー」という名の巨大ショッピングセンターができ、フォーシーズンズが高級ホテルとしてはじめて、カジノのないホテルを作った。客は世界中から、シルクドソレイユなど、虚飾でない、最高レベルの表現力を持つエンターテイメントを目指してやって来るようになってきた。

 オードリー・リゾートも次の一手を考えねばならなかった。

 そんな時に舞い込んだのが、NHLロサンゼルス・キングスの買収話だったのである。

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小説「スマイル」。女子アスリート冒険物語

松宮宏

「スマイルジャパン」に架空の選手「アン」を加えて進む小説。アメリカでアイスホッケーに出会った「アン」はジュニアを経て全米大学選手権で活躍する。日本代表はアンを帰国させるがソチは全敗、アンが所属する事になった社会人チームもリンク閉鎖の危...もっと読む

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