憧れの化粧品ブランドの裏側

【過去の夢②】
入社3年目。麻美が憧れていた化粧品ブランドだったが、内情はひどいものだった。先輩社員からの妬みや嫉妬。その憧れと現実のギャップに、いつしか、周りとコミュニケーションを取ることさえ辛くなっていた
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>

イラスト:堀越ジェシーありさ



 アキコが語って聞かせてくれた、たくさんあった話の一つだった。
 それがアキコのオリジナルの話だったかはわからない。アキコ自身、誰かから聞いた物語を語ってくれたのかもしれないし、テレビで放送されていた昔話の一つだったのかもしれない。

 麻美が風邪をひいて、学校を休んで家で寝ている時、絵本を読んで聞かせてくれたことがあったが、あれはもしかすると絵本の物語だったのかもしれない。

 それはある少女が、世界中の夢が作られている夢工場に行くという、冒険心くすぐるストーリーだった。大人になった今でも何となく覚えているということは、ある程度大きくなってから聞いた話だったのだろうか。
 いずれにせよ、「夢工場」の物語を聞いてしばらくは、夢の中に広がっている世界のことを想像し、わくわくしながら眠りについたものだった。

 そんな、一緒に過ごしたたくさんの思い出のある祖母が、夢の中に現れた気がする。

 どんな夢だったんだろう。なんとなく歯がゆさだけが、消えたろうそくの煙の香りのように胸に残る。

 目覚めの悪い日は仕事を休みたくなるが、そうも言ってはいられない。短大を出て、働き出して三年目。社会人としての当たり前の感覚は身についている。

 立ち上がって、洗面所へ向かい鏡を覗いた。大丈夫、目は腫れていない。麻美は急いで支度を始めた。

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夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

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kwb_wvr 第2章の主人公は美容部員の女性です💄✨   https://t.co/5BZNJzj9a6 #夢工場ラムレス #WEAVER #小説 約1年前 replyretweetfavorite