河邉徹
一年前に亡くなったおばあちゃんが……
【過去の夢①】
最近、麻美は一年前に他界したおばあちゃんの夢をよく見る。内容ははっきり覚えていないのだが朝起きるとなぜだかいつも涙を流していた。そんなおばあちゃんがよく話してくれた「夢工場」の話。その時は、その話の意味を理解していなかった――
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>
【第二章スタートを記念して一気読みフェアを開催中! 第一章を特別に無料公開!!】
イラスト:堀越ジェシーありさ
ベージュのカーディガンを着た後ろ姿を見ていた。いつものように、椅子に座ってテレビを眺めている。幼い頃から見慣れた実家の景色だ。
「だらしないなぁ」
その人は独り言のように言った。聞き慣れた、いつもの口癖だった。
「女は家事ができなあかん。ちゃんと手伝いなさい」
昔の人の考え方だと思った。私はもう、昭和の時代に生まれた人間ではない。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
20314
false
この連載について
河邉徹
WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の
〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。
...もっと読む
著者プロフィール
1988年6月28日、兵庫県生まれ。関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修 卒。ピアノ、ドラム、エレクトリック・ベースの3ピースバンド・WEAVERのドラマーとして2009年10月メジャーデビュー。バンドでは作詞を担当。
【書籍オフィシャルショップ】ASMART
https://www.asmart.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shopid=0&cat=100124400&pid=10016287