異世界の空

「私」はどこからきたのか?1969年7月20日。人類がはじめて月面を歩いてから50年。宇宙の謎はどこまで解き明かされたのでしょうか。本書は、NASAの中核研究機関・JPLジェット推進研究所で火星探査ロボット開発をリードしている著者による、宇宙探査の最前線。「悪魔」に魂を売った天才技術者。アポロ計画を陰から支えた無名の女性プログラマー。太陽系探査の驚くべき発見。そして、永遠の問い「我々はどこからきたのか」への答え──。宇宙開発最前線で活躍する著者だからこそ書けたイメジネーションあふれる渾身の書き下ろし!人気コミック『宇宙兄弟』の公式HPで連載をもち、監修協力を務め、NASAジェット推進研究所で技術開発に従事する研究者 小野雅裕がひも解く、宇宙への旅。 小野雅裕の書籍『宇宙に命はあるのか ─ 人類が旅した一千億分の八 ─』を特別公開します。

地球の空は青く、白い雲が浮かんでいる。他の世界の空は、どんなだろうか?

金星の空は常にオレンジ色の雲に覆われている。太陽は見えない。昼はおよそ60日続く。雲に覆われて星の見えない退屈な夜も約60日続く。もしこの世界に雲がなければ、太陽は西から昇り東に沈む。

火星の一日の長さは24時間40分。あなたは毎日40分ずつ寝坊できる。一日は青い朝焼けで始まる。昼間の空はクリーム色。そして太陽は青い夕焼けを纏って沈む。夜空には地球と同じ星座が見えるが、北極星は北にない。代わりに天の北極近くにあるのは、はくちょう座のデネブである。

ガス惑星である木星には明確な地面というものはないが、雲の上に浮かべば四つの月が満ち欠けを繰り返すのが見えるだろう。その一つ、エウロパの氷の地表に立てば、巨大な木星が空にじっと動かず、威圧感を持ってあなたを見下ろしている。

土星もガス惑星だ。その雲の上から見れば、美しい輪が地平線から反対の地平線まで架かる雄大な光景を見ることができるだろう。

土星最大の衛星タイタンの空も、金星と同じようにオレンジの雲で覆われている。そこから冷たい雨が降る。マイナス180度のメタンの雨だ。地に落ちた雨滴は集まって川を成し、メタンの湖に注ぐ。

天王星のほとんどの場所では常に白夜または極夜である。昼は42年続く。夜も42年続く。平均的な人間の寿命では、日の出を一度しか見ることができない。

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宇宙に命はあるのか ─ 人類が旅した一千億分の八 ─

小野雅裕

銀河系には約1000億個もの惑星が存在すると言われています。そのうち人類が歩いた惑星は地球のただひとつ。無人探査機が近くを通り過ぎただけのものを含めても、8個しかありません。人類の宇宙への旅は、まだ始まったばかりなのです…。 NASA...もっと読む

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コメント

tipi012011 いいなぁ、火星。あ、ひょっとして働く時間が火星タイムで長くなる可能性の方が高いかも。寝坊出来ないじゃん。。 1年以上前 replyretweetfavorite

SchwarzKatz おもしろいなー。見てみたい。 1年以上前 replyretweetfavorite

takaakishigenob 火星の一日の長さは24時間40分。一日は青い朝焼けで始まり、昼間の空はクリーム色。そして太陽は青い夕焼けを纏って沈む。 1年以上前 replyretweetfavorite