新興日本人都市シーラチャーってどんなところ?

日本での生活にちょっと疲れてしまったら、今での生き方を少し変えてみたいと思ったら…肩の力を抜いて過ごせるアジアで暮らしてみるのはどうでしょうか? 
アジア10カ国の移住情報を収めた『海外暮らし最強ナビ【アジア編】』の中から、日本人にとって一番住みやすい国と言われる「タイ」の最新事情を特別連載いたします!
今回は、地方都市なのに、日本人が1万人いるとも言われるシーラチャーのお話です。

日系製造業の城下町

バンコクから車で1時間と少し。首都高速からモーターウェイに乗り、南東へと走っていくと、都心部の摩天楼は姿を消す。チョンブリー県郊外ののどかな町や村が点在するが、やがて高速道路を走っている車に、大型のトラックやトレーラーが多くなっていることに気がつくだろう。すぐ先には、タイ最大の輸出港であるレムチャバン港があるのだ。ほかのアジア諸国や、日本はじめ全世界の輸送船が行き交う、貿易の中心地。沖合いからレムチャバン港を見ると、通関待ちや陸揚げ待ちの船が海上にずらりと展開し、壮観だ。

そのレムチャバン港を中心として、チョンブリー県にはたくさんの超大型工業団地が並んでいる。何百という日系企業もこのあたりに工場を構えている。代表的な工業団地であるアマタナコンだけでも、入居企業600社のうち7割近くが日本の会社だという。ほかアマタシティ、イースタンシーボード、ヘマラートなどなど、巨大な工業団地が点在する。

チョンブリー県というとリゾート地パタヤが思い浮かぶのだが、ここはタイの工業生産だけでなく、日本の製造業の要とさえいえる地域なのだ。日本のお父さんたちが向かい合っているのはパタヤの歓楽街ではなく、工業団地なのである。

で、そんなお父さんたちが暮らしている街……それがシーラチャーだ。レムチャバン港と、県都チョンブリーに挟まれた小さな街なのだが、ここがいまたいへんなことになっている。日本人城下町として、異常な進化を遂げているのだ。

次々とコンドミニアムが建ち、地図が書き換わっていくシーラチャー。この2棟、どちらも入居者のほとんどは日本人だ

円高と洪水によって動いた日系工場群

「いま日本人は6000人くらいが住んでいるんじゃないかな」

と語るのは、シーラチャーのサービスアパートに勤務する吉村さん。迎え入れるゲストの大部分は、シーラチャー近郊の工業団地で働いている人々や、日本からの出張者だ。サービスアパートから各工業団地までは、朝晩シャトルバスも運行されているほどだ。それに乗ってたくさんの日本人が出勤していく。

「ピークは3、4年ほど前だったと思います。スズキさんが工場を立ち上げたこと、三菱さんが新しい車種を発表したこともあって、関連するサプライヤーなども含めて日本人が一気に増えました。7000人は超えていたかも知れません」

実数はもっと多いという声もある。在留届を出さずに住んでいる個人や中小企業もシーラチャーにはおおぜいいるし、3か月単位で短期出張に来ている人、バンコクからひんぱんにやってくる営業マンなども合わせれば、この小さな地方都市に1万人の日本人が、常に滞在しているのではないか、ともいわれる。

その背景にあるのは2000年代に入って加速した円高だ。日系企業が「ラッシュ」ともいえる勢いでタイに進出してきたのだ。タイは周辺国に比べれば人件費はやや高いが、それにしたってまだまだ日本よりは安く、また熟練したワーカーもたくさんいる。日本の企業がすでに多数進出、下地をつくってもいた。彼らが目指したのはレムチャバン港から近く、輸送コストを抑えられるチョンブリー県だった。アベノミクスによっていくらか円安傾向になっても、その流れは変わらなかった。

当初はこのチョンブリー県のほか、バンコク北部のパトゥムタニ県やアユタヤ県にも日系企業は入り込んでいったのだ。しかし2011年のタイ大洪水で、バンコク北郊の工業団地は次々に水没。大きな被害を受けた。その教訓から、洪水リスクの少ないチョンブリー県に移転してくる企業が増えた。

かくしてシーラチャーは、短期間に一気に日本人人口が膨れ上がっていったのだ。

現地採用の働き口も増えている

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アジアの達人が教える、最強のタイ暮らし

室橋裕和

日本での生活にちょっと疲れてしまったら、今での生き方を少し変えてみたいと思ったら…肩の力を抜いて過ごせるアジアで暮らしてみるのはどうでしょうか?  アジア10カ国の移住情報を収めた『海外暮らし最強ナビ【アジア編】』のなかから、日...もっと読む

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CVS_ERA 室橋裕和「タイの小さな地方都市に1万人の日本人が常に滞在しているのではないか…」 #cakes https://t.co/PPjRPOf7g7 約1年前 replyretweetfavorite