はじめまして。​「プライムニュース」のキャスターを務める反町です。

2000回超えの放送&のべ6800人超えのゲスト……正統派報道番組「プライムニュース」の看板キャスター・反町理さんが『聞きたいことを聞き出す技術』で究極の話術40を初公開!「たてまえ」の政治かからも「本音」を引き出す極意、待望の新連載! 話し下手の人も、新入社員のあなたも必読のコツが満載!

はじめに

 はじめまして。「プライムニュース」のキャスターを務める反町です。

 自分で言うのも何ですが、僕はがさつです。

 ビジュアル系でないうえに、上着の下はいつも半袖だし、カメラ目線にはならないし、大声で笑うし、視聴者へのサービス精神にも欠けています。 「だから何だ、これが僕なんだ」と開き直っているわけではありません。

 自分なりにこの番組にとって必要なことは何なのかを考え、それはまず、ゲストの発言を本音に近づけることだという結論に達しました。

 そのために前取材をして、相手の本音をある程度押さえて番組に臨みます。番組中はゲストと向き合って、相手の目を見て話します。こちらが相手に対して興味を示せば、相手もそれなりの答えを返してくれることがわかりました。

 その真剣な向き合いを、電波を通じて視聴者に見てもらい、感じ取ってもらう。

 僕のがさつさは充分視聴者に伝わっていることでしょう。その分、少しは真剣さも伝わっているのではないかと思います。

 もしも茶番に見えたり中身が薄かったりしたら、視聴者は離れていったでしょうし、ゲストも出演してくれなかったのではないでしょうか。

 人にはできることとできないことがあります。とにかく僕は原稿を上手に読むことはできないし、見た目もどうしようもありません。しかしながら組織人として、命じられた役割は果たそうと思いますし、やる以上は納得いくよう、楽しくやれるよう、ベストを尽くすだけです。それが僕の仕事の基本でもあります。

 僕がフジテレビに入社したのは昭和六十二年です。

 入社面接の時から政治部志望だったのですが、最初の二年はカメラマンとして現場を走り回り、その後、夕方のニュースのスポーツコーナーのディレクターを一年、イギリスに一年留学して外信部に一年、それでようやく政治部に配属となりました。

 あんまり「政治部、政治部」とうるさく言い続けていたので、回り道をさせられたのかもしれません。  それから、ワシントン特派員、首相官邸キャップ、政治部デスクなど、ほぼ政治畑で経験を積み、平成二十一年、BSフジ「プライムニュース」のキャスターになりました。

 そもそも僕が政治に興味を持つきっかけとなったのは、ある一冊の本でした。

 小学校五年生のとき、父親の本棚に『青春国会劇場 早稲田雄弁会が生んだ7人のサムライ』(豊田行二著)という本を見つけました。

 その本には昭和三十年前後の十年間の早稲田大学雄弁会出身である政治家、海部俊樹、西岡武夫、小渕恵三、藤波孝生、松永光、渡部恒三、森喜朗の七人が幼少、青年期をいかに過ごして、早稲田大学の雄弁会に入り、どのように国政を目指していったのかという話が書かれていました。

 父は早稲田出身ではありませんし、政治家でもありません。父と政治の話をしたことなどほとんどなかったのですが、なぜかその本を一生懸命読んでしまい、「早稲田の雄弁会というのは面白いところだな」と、興味が湧きました。

 だいたいその本に取り上げられていた七人のうち、三人が後に首相になっています。日本全国探しても、そんな大学サークルはないでしょう。

 早稲田大学雄弁会は明治三十六年に創設されました。その前年に前身である東京専門学校(明治十五年創立)から早稲田大学に改称されたばかりで、学生の意気はすこぶる高かったようです。

 演説の稽古をするだけでなく、日本の公害のはしりと言われる足尾鉱毒事件の実態を調査し、被害民の救済を天下に訴えるなど、早くから社会的実践に乗り出していました。

 その後、大正、昭和と雄弁会の活動は途切れることなく続きますが、昭和五年以後、官憲の手によって活動は停止させられました。しかし、終戦の三か月後の昭和二十年十一月には復活。年々活動は活発化し、政財界にとどまらず、各界で活躍する人材を輩出していくことになります。

 これだけ長い歴史と大勢の先輩諸氏を持つ雄弁会ですから、熱狂的な憧れを持つ学生も多く、中には入試の合格発表があるとその足で雄弁会の会室に行って入会する人もいるそうです。

 何だそりゃ、頭おかしいんじゃないのと思う一方、一体どんなところなのか、かえって興味が高まり、結局大学は早稲田しか受験しませんでした。運よく政治経済学部に合格したので、興味津々雄弁会に入りました。

 雄弁会の活動の一環として選挙の手伝いをしたこともあります。

 昭和五十八年十二月の総選挙では、石原慎太郎さんの選挙運動を応援しました。

 当時の首相は中曽根康弘さんで、石原さんの選挙区に同じ自民党から財務官僚の候補者を立ててきました。その頃はまだ中選挙区制ですから自民党同士の血みどろの戦いになりました。宣伝カーの場所の取り合いで喧嘩になったり、反対陣営のポスターを剝がして逮捕されたり、そういうのを間近で見ながら、政治のにおいを嗅いでいました。

 しかし、政治の世界以上にすごかったのが、雄弁会の内部抗争です。

 雄弁会には幹事長と幹事会がありました。国会でいえば内閣ですね。そのポストを巡って、派閥が争う。僕が入会した頃は三つの派閥に分かれていたんですが、どの派閥も過半数をとれない状態だったので、合従連衡して二つの派閥が組んで多数派をつくり、ポストを分け合います。幹事長選挙は毎年、春と秋の二回あるので、四年間に八回、やりました。

 雄弁会では「大義」いわば「理屈・たてまえ」と、「本音」いわば根回しの重要性を感じる毎日でした。

 大義の部分は公の弁論活動とか研究活動によって培われます。本を読んだり、講師を呼んだりして、安全保障条約や教育問題について考え、自分たちの意見を発表する。一方で、年二回の幹事長選挙に向けて、根回し、多数工作といった派閥活動を行うのです。

 雄弁会出身者の政治家の中には、「雄弁会の派閥抗争に比べたら、選挙なんて楽なもんだ」と言う人もいます。

 四年間、これだけ政治というものにコミットしてつくづく感じたことは、「政治家というのは大変な職業だ」と言うことです。

 選挙ともなれば、借金までして莫大な金をつぎこんで、家族が総動員で「よろしくお願いします」と頭を下げて、当選したら当選したで、地元民の陳情のために走り回って、買い物一つするにも同じ店ばかり行くと問題になるからと気を遣い、子供も地元の学校に入れるといじめられるから、遠くの学校に通わせたり。

 プライベート、時間、金と犠牲にするものが大きい割に実入りが少ない。それだけの努力をビジネス界でしたら、何億と稼げる人もいるでしょう。

 そんな犠牲を払ってでも政治家になりたいという人には、強いモチベーションが必要です。

 それは国を思う気持ちなのかもしれないし、イデオロギーなのかもしれない、宗教心なのかもしれない、あるいは強い権力欲かもしれません。

 そうしたものは僕も含めた一般人は持ち合わせていません。そこに一般人と政治家を分ける深い谷があると思います。

 しかし一方で、雄弁会の先輩や選挙の手伝いで政治家の方々と接して、政治家の大変さを知り、敬意を抱きました。そして、この人たちが生きる政治の世界を見たいという気持ちが強まりました。

 だから、テレビ局に入り、政治部を希望したのです。

 幸い希望する仕事に就くことができて、これまで僕は千人を超える政治家の人たちの話を聞き、平成二十一年から九年間は「プライムニュース」のキャスターとして、政治家に限らず、各界で活躍する多くの方々の話を聞いてきました。

 番組は平成三十年で十年目に入ります。よく続いていると思います。

 この九年間、月曜日から金曜日まで毎日二時間、ゲストの話を聞きながら自分なりに培ってきた仕事のノウハウがあります。

 なかでも本書は、「聞きたいことを聞き出す技術」についてまとめました。そのうちいくつかでも、読者の皆さんのお役に立てば幸いです。

この連載について

聞きたいことを聞き出す技術

反町理

「プライムニュース」看板キャスターが究極の話術40を初公開! のべ6800人を超えるゲストを迎え、〝たてまえ〟の政治家からも〝本音〟を引き出す著者が、相手の心を掴み、また話したくなると言ってもらえる知られざる極意を伝授!

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strongroove7sv #スマートニュース 約1年前 replyretweetfavorite

peanuts9253 反町理氏のコラム フジのニュースの顔 必読です #反町理 #フジテレビ #プライムニュースイブニング 約1年前 replyretweetfavorite

DogWangChang 反町理氏。報道人、キャスターとしても極めて有能ですが人間味もまたいいですよね。 約1年前 replyretweetfavorite