読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

第8回 意外な犯人は、「意外」じゃない(2)

読んだ印象通り、明らかに怪しい人物が犯人だとしたら、ミステリは面白くも何ともない。一見そう思えない人、犯人から一番遠そうな人が犯人だから面白いのだ。
電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載中の人気連載を出張公開。

 まず叙述トリックについて説明する。
 叙述トリックとは、簡単に言ってしまえば、作家から読者に向けられた仕掛けのことだ。作中における探偵と犯人の駆け引きとはまったく無関係に、文章表現という特性を利用し、思い込みや錯覚、先入観を上手く利用して、読者の注意を誤った方向に向けさせるのである。
 元々はマジック用語で、ミステリで「読者の注意をそらす」という意味で使われる言葉に「ミスディレクション」がある。前回の冒頭で書いたような、明らかに怪しい人物を配置して読者の注意をそちらに向けさせることで、直訳すると、誤った指示、とでもなるだろうか。本筋とは違う方向に注意を向けさせつつ、目の前で堂々と伏線を張り巡らすのである。

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新潮社
2018-05-18

この連載について

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読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

新潮社yom yom編集部 /新井久幸

ミステリ作家志望者、必読! 「新潮ミステリー倶楽部賞」「ホラーサスペンス大賞」「新潮ミステリー大賞」など、新潮社で数々の新人賞の選考に携わってきたベテラン編集長が考えるミステリの読み方・書き方の<お約束>とは――。電子書籍文芸誌「...もっと読む

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