渡邊美樹「週休7日」発言から考える

今回の「ワダアキ考」は、居酒屋チェーン・和民の創業者で、参議院議員の渡邉美樹を取り上げます。先日、参院予算委員会の公聴会で意見を述べた過労死遺族を前に「週休7日で幸せなのか」と言ってのけ、大炎上しました。この発言から「働き方」を考えます。

「週休7日が人間にとって幸せなのか」

夫を過労死で亡くされた女性が、労働時間の規制を強化して過労死を防ぐべき、と訴えた参議院予算委員会の中央公聴会で、居酒屋チェーン「ワタミグループ」創業者の渡邊美樹参院議員が「週休7日が人間にとって幸せなのか」と発言した。「私も10年前に愛する社員を亡くしている経営者。過労死のない社会を何としても実現したい」としながらも、「国会の議論を聞いていますと、働くことが悪いことであるかのような議論に聞こえてきます。お話を聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」(朝日新聞デジタル)と述べたのだ。

ワタミグループでは、2008年に新入社員が過労自殺し、12年に労災認定されたが、その労災認定が下った日の、渡邊による非道なツイートを思い出しておきたい。
「労災認定の件、大変残念です。4年前のこと昨日のことのように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社の存在目的の第一は、社員の幸せだからです」

ポジティブ変換する腕力

短い文章の中に2度「残念」という言葉を使っているが、社員の死に対して「残念」と吐露するのは、保留や捕捉の接続詞「ただ」を使った後だ。それよりも優先する主張が「負担を仲間皆で減らそうとしていた」。仲間皆で減らそうとしていたのに労災認定だなんて残念、との主張。「会社の存在目的の第一は、社員の幸せ」と締めくくっているくせに、社員の死を、自分の責任からなるべく遠ざけようとしており、会社の存在目的の第一が、自分の幸せの確保であるように思える。その翌日のツイートでは、「バングラデシュ 朝、5時半に、イスラムの祈りが、響き渡っています」と、あたかも凡庸な旅行ブログのように切り出し、「バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています」と、自分に向かうネガティブな声を、ポジティブ変換する腕力を見せつけるのだった。

これらのツイートを思い出しながら、今回の発言を振り返ると、「私も10年前に愛する社員を亡くしている経営者」=「社員を愛していた私」という自己認識が相変わらず用意されていることに気づける。労災認定後のツイートと先日の発言を繋げると、俺はちゃんとしてたのに、みんなで愛してたのに、死んじゃった、残念、なのだと思っている。オマエの会社のやり方が原因で亡くなったのに、未だに「愛する」を付着させて、うやむやに逃げているのだ。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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maguhekikai わかりみ。→『週休7日は、人間にとって幸せだ』> 約2ヶ月前 replyretweetfavorite