形は「I」「Y」「A」で整える
A ちなみに、この3つのルールは大原則である「ドレスとカジュアルのバランスを整える」と、どう関係してくるのかな? 2つめは「形はIYA」だっけ?
スバル ボトムスから揃える、形はIYA、色はモノトーン+一色という3つのルールを使ってドレスとカジュアルのバランスを整えていきます。たとえば、ボトムスが黒のスキニーパンツで黒のローファーだと、ドレスですか? カジュアルですか?
A スーツスタイルで使うアイテムがドレスだとすると、スキニーやローファーはスーツじゃ使わないけど、カジュアルでもないような……。色は黒だし、シックだよなぁ。
スバル そうなんです。どのアイテムがドレスでカジュアルかは、色や素材によっても変わってきます。たとえば、真っ赤なスーツはドレスかというと、デザイン指南の世界に革命が起きたといっても過言ではありません。もちろん、流行やトレンドは永遠に続くものではないので、未来永劫スキニーがおしゃれというわけではありません。でも、ボトムスが印象を整える、トップスは印象を変えるというのは不変です。
A じゃあ俺もユニクロのスキニーを買ってみるか……。
スバル 太ももが太かったりお尻が大きくてスキニーがはけないという方は、テーパードパンツでもいいと思います。その際は、裾の長さに注意してくださいね。
A テーパードってなんのこと?
スバル 裾に向かって裾幅が細くなっていくパンツのことです。太もも部分はスキニーパンツほど細いわけじゃないので、体形に難があってもはけます。裾に向かって先が細くなっていくので、全体の印象も細く見える効果があります。ボトムスを整えるとは、言い換えると、できる限り目立たなくすることといってもいいと思います。そう考えると、ダークトーンでなるべく細く、シワが出ないようにすることが大事。靴も同系色にしたほうがいいでしょう。パンツと靴の色を合わせるとひとつながりに見えるので、脚が長く見えますよ。こういったことも含めてボトムスを整えるというようにルール化しています。
スバル そうなんです。どのアイテムがドレスでカジュアルかは、色や素材によっても変わってきます。たとえば、真っ赤なスーツはドレスかというと、デザインはドレスだけど、色はドレスじゃないですよね。赤のスーツで会社には行きませんから。ファッションはそういった複合した要素が重なり合ってできているので、大まかな指針として3つのルールを考えながら、ドレスとカジュアルのバランスを考えていくんです。
A 黒のスキニーパンツは、ストレートの色落ちしたデニムに比べたらはるかにドレス寄りってことか。ローファーもスニーカーに比べたらドレス寄りだから、トップスがTシャツみたいなカジュアルな服でもバランスが取れると……。
スバル 簡単でしょ? そしてルールの②が「形はIYAで整える」です。いま頭のなかで整えたボトムスは細くて1本の線のようですよね。これが典型的な「I」ラインシルエットです。IYAは文字どおりアルファベットの形です。
A 確かに「I」だわ。
スバル シルエットがキレイに見える形というのはもう決まっていて、メンズならこの3つの形に変則として「O」ラインがあるだけです。「I」ラインは上下ともに細いシルエット、「Y」ラインは上が太くて下が細い、「A」ラインは上が細くて下が太い、「O」ラインは上が太くて下も一見太いけど裾に向かって細くなっているので卵形に見えるラインを指します。先ほど言ったテーパードパンツをはくと「O」になりますね。今日のAさんのシルエットは、この4つの形に当てはまっていないので、カッコよく見せるのが難しくなるんです。
A なるほど!
スバル 初心者はまず「I」ラインをつくりましょう。黒のスキニーパンツと黒のローファーがあれば、必然的に「I」か「Y」になります。
A そうか、だからトップスは何を着てもある程度サマになるのか……。
スバル もちろん上下ともユルユルでもおしゃれなファッションはありますよ。でも難易度が上がってしまいます。「I」ラインをつくる際の注意点をひとつ教えます。先端の処理がとても重要なんです。
A センタン? チョコバリとか白クマなんかのちょっとマニアックなアイスで 有名な?
スバル 細かいボケはやめてくださいね。「I」ラインは下半身を細くする必要があると言いましたよね。でも細く見せるには重要なポイントがあるのです。それが先端。いくら細みのスキニーパンツをはいても、裾にシワがたまってしまうとそれは細く見えません。パンツのクッションってやつですね。
MB's skill 初心者はまず「I」ラインからつくろう。
A 皮が余る的な?
スバル まぁ、そういうことです。足元にシワがたまってクシャクシャに見えると、細みでもルーズな印象になってしまうのでドレスとカジュアルのバランスまで崩れてしまいます。服の印象は先端で決まるので、試着したときに、パンツは裾にシワが出ないように裾上げしてください。それでも長さがわからないときは裾をまくってロールアップして調整することもできるので、先端をスッキリさせることを覚えておいてくださいね。
色はモノトーン+一色に抑える
A これで大原則とルールが2つ。残りをマスターすれば、俺もおしゃれになれ るわけだ。
スバル おしゃれも勉強さえすれば、なんてことはないんですよね。ちゃんと教えてくれる先生や教科書がなかっただけで……。
A スバル君はMBさんの助手になってから長いの? やっぱりもともと服が好きで?
スバル ただのニートだったんですけど、MBさんのブログのわかりやすさに衝撃を受けてメルマガを取りはじめたんです。で、服を買うようになって、MBさんの最初の書籍が出るときに思い切ってサイン会に行って……弟子入りを志願しました!
A 優男に見えて意外な行動力。ニートのわりにはやり手だねぇ……。
スバル もちろん、服のおかげですよ。ブログとメルマガを読んだことでファッションが少しずつ変わって、人に褒められるようになって、すごく単純なことですけど、自分に自信が持てたからなんです。
A MBさんもまったく同じことを言ってたよ。
スバル MBさんには「最近、性格まで変わって、図々しくなった」って言われますね。昔はオドオドしてたので(笑)。
A 外見が内面まで変えるってことか。でも、今日の堂々とした態度からは想像がつかないかも。
スバル 人にこうすればおしゃれに見せられるよって僕も教えることができるようになったので、それが大きいのかもしれません。友達から買い物に付き合ってほしいと誘われることも頻繁にありますから。そこでちゃんと言語化した法則を教えてあげられるので、とても感謝されますね。そういった意味では、最後のルール③「色はモノトーン+一色に抑える」がいちばんの難所かもしれません。解釈が単純なようでいて奥が深いので。
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