「もういいや。ここまでだ。あとは知らん!」
町子はそういって言語機能のロックを解除した。これで二号機はしゃべれるようになった。
「佐原、二号機をステージに運ぶぞ」
「テストはしないんですか?
「そんな時間はないっ!」
町子は二号機の、今日のために新調したワンピースの皺を伸ばしながら、「二号機、なんか話してみて?」と訊いた。
二号機は最初少しとまどった様子だったが、再び声が出せるようになったのだとわかると、嬉しそうにしゃべりだした。
「おー、やっと声出たー!」
一日ぶりに聞く、二号機の合成音声だった。
「どう、話せる?」
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