ココロ

第4回 scene01 : リボン

デモンストレーションを目前にして、平田製作所の面々は二号機の人工知能の調整に奔走していた。しかし、肝心の開発室長・天本の姿は会場にはなく……。
ニコニコ動画での再生回数180万回を誇るボーカロイドの名曲を基にしたノベル版『ココロ』を一部公開します。ノベル第2弾『ココロ―再会―』も発売中です。

 

 その頃、天本はJR海浜幕張駅のアウトレットパークにいた。
 入口から入ってすぐの雑貨屋で女子に混じり、彼女たち以上に真剣な眼差しで何かを探していた。
 背の高い天本は周囲から頭1.5個分ほど飛び出し、かなり目立つ。長い癖毛を振り乱し、汗でずり落ちるメガネをこまめに上げつつ必死の形相で立ち尽くすその姿に、いつのまにか彼の半径2メートル以内には誰も近づかなくなった。店の間口が4メートルほどだから、彼が真ん中に立っていると客が寄りつかなかった。

 昨日、二号機が天本に言った。
「わたしもリボンつけたい! リボン! リボン! リボン!」
 大騒ぎだった。
 急にリボンなどと言い出したのにはわけがある。
 平田製作所にはもう一台、第一研究所でつくった<ミク>というロボットがいる。ミクは緑色の長い髪をリボンで結んでツインテールにしていて、それをたまたま見てしまった二号機が、
「不公平だ!」と言って自分にもリボンをつけろと要求してきたのだ。

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ココロ

トラボルタ /石沢克宜 /なぎみそ

ニコニコ動画で再生回数180万回を超えるボーカロイド・鏡音リンオリジナル楽曲『ココロ』。物語性の高い歌詞が魅力で、舞台化、ミュージカル化、小説化されている伝説の名曲です。5月27日のノベライズ第2弾『ココロ―再会―』(PHP研究所)の...もっと読む

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