名刺ゲーム

鮭は白身魚か赤身魚か、どっちだ?

「知らないことを言われるとムキになるんですね」。謎の男にプライドを擽られた神田はある出来事を思い出す。会議で嘲るように神田の無知を指摘してきた男がいたことを……。上の人間が恥かくのって気持ちいいか? それって恥をかかせた奴の自己満足でしょ? 上司って上に司るから上司なんであってさ、司らせろよ、もっと! テレビ業界一の傲慢男の叫びが響く『名刺ゲーム』セカンドステージ!

2 神田達也

 俺の息子の命を握っておきながら、俺に聞きたいことがシマウマの縞。イタズラか? 天然か? おふざけか? バカにしてるのか?

—シマウマって体の縞、縦縞が多いですか? 横縞が多いですか?

—なぜ、今、シマウマなんですか。

—知りたいんです。答えてください。

 答えないと先に進ませてはくれないだろう。だから答えた。

—そりゃ、縦縞が多いでしょう。

 当たり前の答え。シマウマの縞は縦縞が多いと思ってる人がほとんどでしょ。

—実は横縞の方が多かったりして。

 自分の中の「当たり前」を否定されるのって腹が立つでしょ? だから。

—縦縞の方が多いですよ、絶対。

 俺のその言葉を待ってるかのようだった。待ち伏せしていたかのようにね。

—「ミステリースパイ」を作ってる人でも、知らないことあるんですね。

 あいつは目の前で、スマホで画像検索して見せてきた。それを見たら、自分の当たり前は正解ではなかった。シマウマの縞、実は縦縞なのは胴体部分の後ろの部分だけ。頭から胴体の真ん中までが横縞。足も横縞。

—七割ほど横縞なんですけど。

 笑いをこらえるのに必死なあいつ。だから正解を見せられてるのに、引くに引けなかった。

—シマウマが餌を食べる時みたいに首を水平にしたら、ほとんど縦縞になるでしょ。

—それは餌を食べてる時だけでしょ。

—普段は首が下向いてる状態の方が多いかもしれない。だとしたら縦縞でしょ。

 俺の絶対に勝てないプレゼン。穴だらけの言い訳の途中で、また笑った。

—知らないことを言われるとムキになるんですね、いつも。あ、僕、優しい。

 俺のプライドを落とし穴に落とすようなことをして、優しい? こいつが優しい? どこが? いや、優しかった。ヒントをくれたのだから。この四人の中からクイズ作家の木山光さんを探し出すヒントを。

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この連載について

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名刺ゲーム

鈴木おさむ

家族も部下も切り捨て、人気クイズ番組のプロデューサーまで上り詰めた神田達也。ある夜、息子を人質にとられた神田は謎の男から「名刺ゲーム」への参加を命じられる。だがそれは、人間の本性を剥きだしにしていく《狂気のゲーム》だった――。WOWO...もっと読む

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