自分って実はめっちゃワガママな人間なのでは……と思いはじめたあなたへ
『こころ』夏目漱石
(新潮社)初出1914
自由 VS 孤独
日本文学史上もっとも読者を狂わせる、人間の孤独の冷たさを完璧に綴った傑作。教科書で読んだよって方も、ぜひもう一度。#日本文学史に残る傑作 #明治時代 #教科書に載ってる #ていうか載せちゃダメなレベル #載ってるのは一部なので全部読んでください! #大人になってからの再読におすすめ #青空文庫にもあるよ #ひとりでひっそり本を読みたいときに #文学というものの怖ろしさを知る
『こころ』を読むと、まじでいつも泣いてしまう。
む、無理〜〜〜〜生きるの無理〜〜〜〜〜と、ばかみたいな泣き言が口から次いで出る。
読むと、わかりやすくダメージを受ける。ちょっとやそっとの状態で読むと危険な本ナンバーワンである。
よくもまぁこんなもん教科書に載せてたな、と見知らぬ教科書製作委員会(?)の方のセンスに思いを馳せる。それくらい危ないテキストだ。
『こころ』。
言わずと知れた、日本文学史に残る夏目漱石の小説だ。
―明治時代が終わろうとしている頃。「私」は、鎌倉の海で偶然「先生」と出会う。
いつしか、私は奥さんとふたりきりで過ごしていた先生の家へ出入りするようになる。しかし先生は、近しくなっても、どこか謎めいたところを残していた……というのも、先生は雑司ヶ谷へ毎月墓参りをしているのだ。
先生は、私が問い詰めても、自身の過去について何も語ろうとしない。いつか打ち明けるとは言いつつ、結局何も言わない日々が続いていた。
ある日、地元での帰省が長引いた私の元へ届いたのは―先生の遺書だった。
その遺書には、先生の過去―先生と、友人「K」と、今の奥さんであるところの「お嬢さん」の話が綴られていた。
先生がいつも墓参りをしているのは、「K」のお墓であり、「K」は自分と同じように「お嬢さん」に恋心を抱いていたのだ。
しかし先生は、「K」を出し抜き、半ば強引に「お嬢さん」との結婚を進めてしまったのだと言う……。
完璧すぎる孤独が胸に突き刺さる一冊
この小説を読むと考える。
―人は、こんなにも孤独を完璧に表現してしまっていいのだろうか?
結局、私はそれが怖くて泣いてしまう。
いくら天才的な作家だとしても、孤独や自分の痛みや恥というものを小説上で表現するとき、すこしは文章が揺らぐものだ。小説としてすこしは甘いところができたり、センチメンタルな部分が飛び出したり、これこそが人間だよな、と思うような「欠け」た部分ができるはずである。 cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
なのに、